よく書かれた論文は、水が高いところから低いところに流れるようにスラスラと論証が進んでゆきます。その構造を説明したのが、下のパワーポイントスライドです。ダウンロードしてみてください。
■ 舞台と舞台裏は大違い。
しかし、完成品の論文に騙されてはいけません。論文は舞台だけを見せていますから、きれいに見えますが、舞台裏はしばしばしっちゃかめっちゃかです。多くの著者において、論文を書く過程、特に序論が書けるようになるまでの過程は、本当に五里霧中の状態です。しかし、ここを考え抜くことこそが訓練です。みんなこの過程を苦しんで通り抜けることにより思考力をつけてきました。悲観せずにがんばってね。
■ 頭で考えるのではなく、手で考える。
がんばってね、と言いましたが、頭だけで考えようとしては逆効果です。手で考えてください。この言葉に通じるところもありますが、手でどんどん自分の考えを書き出して、自分の考えをオブジェクト化(物体化・対象化)して、考えましょう。
古い記事ですが、次の二つの記事を読み直してください。私はコンピュータを勧めるのに人後に落ちませんが、手書きの良さも知っています。しばしば人間の手は、コンピュータ(キーボード入力)では不可能なことをやってのけます。特に思いつきをとにかくなぐり書きすることはお勧めです。
卒業論文を書く皆さんへのアドバイス (1998/11/01)
卒業論文執筆のための合理的なアプローチ(2001/1/13)
■ よい友人に話を聞いてもらう
可能ならば友人に論文のテーマを聞いてもらいましょう。その際にもできるだけわかりやすく話をまとめるのは当然のことです。
しかしできれば「よい友人」を選びましょう。ここでいう「よい友人」とは、話を建設的に聞いてくれる人です。肯定的な雰囲気で「えっ、つまりどういうこと?」、「それは○○と理解していい?」、「それはなぜ?」、「それは○○も意味すると言っていいの?」ととあなたの思考を紡ぎ出してくれる人です。そのような建設的な相互作用からは思いも掛けない発想がわいたりします。
逆にあまり否定的な人を選ぶと、孵化したかしていないかの段階のあなたの考えは回復不可能なまでに潰されてしまいます(さらにそのように否定的な人は、自分のことを頭がよいと信じきっているのでタチが悪いです 笑)。
よい友人をもち、なにより自分自身が他人にとってのよい友人であるようにつとめましょう。
■ コンピュータを使って、知的生産力を飛躍的に向上させる
そうして手で考え、友人の頭と言葉もも借りて考えたら、今度はあなたの知性をコンピュータと合体させた複合体にして、あなたの思考を育ててください。次の記事を読んでください。
コンピュータと人間知性の共進化について
コンピュータ上で「思考」をするために
ちなみに次のファイルは、現在、私が目指している知識生産プロセスです。ご興味があればどうぞ。
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