■ 「物語」の重要性と難しさ
私は「物語」を自分のキーワードの一つにしていますので、まずは池谷先生の物語についての発言を引用します。
論文の論旨展開にはストーリーを作らなければなりません。ストーリーの展開次第で、同じ発見であってもインパクトがまるで異なりますから。
ストーリーテラーになれなければ実験屋のままですから、私はこの単著論文を執筆する過程でようやくサイエンティストに近付けた。つまり、やはり、サイエンティストにはなんといってもプレゼンテーション能力が問われているのです。(166-167ページ)
目の前の「スゴい」を整理整頓し、「従来の理解の範囲」という容器にパッケージングしなければならない・・・・・論文化や言語化のプロセスは苦しいものですけれど「どのように見せてゆけばいいのかなぁ」と試行錯誤することは楽しいことでもあるのです。
私の場合、「伝える」プロセスでは、たいてい、論文執筆前にあちこちの学会で発表するようにしています。発表したら「こうしたら伝えられるのか」「これでは伝えられないのか」のアタリがつかめます。「伝わる発表方法」が見つかるプロセスにもサイエンスの醍醐味があるのではないでしょうか。
ちなみに「発見(分かる)」から「発表(伝える)」までは、ものすごく時間がかかるものです。だいたい、どのような発見でも、それを発表するまでには2年間はかかるものではないでしょうか。(224-225ページ)
■ 大局観をもち、目先の「正誤」にばかりとらわれず、好奇心を走らせる
もちろん「物語」以外にも面白く深い言葉がたくさんあります。詳しいことはこの本を実際に読んで、池谷先生と木村氏の二人によるストーリーテリングを楽しんでください。
私としては、特に以下の論点を面白く思いました。以下の表現は、私が適当に変えていますので、正確な理解のためには本書を参照してください。
(1) サイエンスの世界の中での自分の研究の位置を確認せよ。大局観や俯瞰のないところにはミスが出やすい。(86ページ)
(2) 正誤を云々いうよりも、そういった議論を繰り返すプロセスの中で、何がより重要な論点であるかを明確にすることが重要。(150ページ)
(3) 好奇心を先に走らせることにより、決定的な差異を見いだすことができる。(194ページ)
勉強に疲れた時に読むと、研究の面白さがわかり、また勉強しようと思える本です。ぜひご一読を。
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