微熱が続くので、こんな時でもなければ長い映画は見られないと思い、前から気になっていながら見る機会を逃していた映画「マグノリア」を見る。
見ながら必死で複数の人物と出来事を因果律で結びつけようとしている自分に途中で気がつく。
おそらく因果律に基づく合理的な整合性というのは、自分の予想以上に私の中に巣くっているのだろう。
人生も世界も、そんなに単純じゃないのにね。
もちろん単純に捉えることも可能だけれど、そうすると見えなくなってしまうことがたくさんあるのにね。
物事は「起こる」のよね。
複合性 (complexity) で説明するのが、現在のところもっとも妥当な説明法なのだろうけれど、それも後知恵であり、単一の視点だけで、振り返るまもなく実時間で行動している人間にとって、物事はただ「起こる」のよね。
だから、単純な因果律による説明はしばしば破綻し、それどころか意味づけさえうまくいかないのよね。
だから「全知全能」にて、人間には不可解な「神」を想像し、それへの信仰でなんとか乗り切ろうとするけど、それもいつもうまくゆくとは限らないのよね。
起こることを起こるがままに受け止め、ひとつひとつそれらに丁寧に対処できる人がいたら、その人は大人だと思う。
映画のラストシーンで、象徴的な天災(?)が起こるけど、3時間近く、この映画を見ていたら、「うん、そんなことも起こりうる」と妙に納得してしまった。
それから音楽はいい。この映画が一種のミュージカルになっていると言ってもいいぐらいに、映画と音楽がぴったりあっていた。
わけのわからない「文学」的な映画を見たいのでしたら、お薦めです。
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2009年9月6日日曜日
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2 件のコメント:
おっしゃるように映画マグノリアでは音楽は不可分だと感じます。この映画で歌われている曲はAimee Mann (元 'Til Tuesday。彼女の夫は俳優ショーン・ペンの兄でミュージシャンのMichael Penn) ですね。オススメです。音楽監督はこの夫婦と親交のあるプロデューサーでありミュージシャンであるJon Brion。映画のパンフにあったアンダーソン監督の談話だと、まず彼女の曲を聴いて、そのイメージから映画が出来たというような方向性だったと記憶しています。公開から早10年経ったのだと気付いて感慨に耽っています。
tmrowingさん、
コメントありがとうございます。お詳しいですね。エピソードを知って、改めて映画と音楽の強い一体感を感じます。風邪をひくと、このような映画を見る機会も得られますから、まあこれも「風邪の効用」の一つかもしれません(笑)
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