NHK教育テレビの「プレキソ英語」は、小学生を主な対象にしているものの、中学生から大人まで楽しめるオール・イングリッシュでの楽しい10分間の番組です。
英語の学習としては、色・形・数などの基本的な表現から、時間・場所の表現、そして過去・未来の表現まで、簡単な英語でだんだんと世界を広げるようになっていますが、何よりも素敵なのはこの番組のアート感覚です。
第一回目の番組は、約5分間の実写へのアニメーション組み込み映像(What color is this?)、15秒の笑える寸劇、約2分間の完全アニメーションによる「マイクロ・ストーリー」、約2分間での小学校での実写、約30秒のキーボードを使ったアルファベットソングから成り立っています。
番組の放映は土曜日午後6時50分~7時00分(再放送は翌週火曜日午前10時5分~10時15分と翌週木曜日午前9時15分~9時25分)ですが、インターネットでも「ムービー」として無料視聴できます。
私はとりあえず三回連続して見て、この文章を書くためにさらに二回見ましたが、これだけ見ても飽きません。これはまさにこの番組がアート作品として素晴らしいからだと考えます。
なにより英語が自然です。文そのものにも声優の発声にも妙な人工色がなく何度も聞けます。
それにアートが素晴らしい。冒頭のEAGER LUSHも「これが小学生向けか!」と驚かせるぐらいのセンスの高さですが、次のアニメーションではキャラクターが魅力的だし、アニメが組み込まれる映像画面の構図や動きも素晴らしい。もちろんストーリーテリングが上手くついつい英語で表現されている内容に引き込まれます。
寸劇もよくできていてうまい気分転換になりながら重要表現を印象的に提示します。
完全アニメーション(「マイクロ・ストーリー」)は色彩・配色が優美で、さらに中川俊郎(なかがわとしお)さんの伴奏音楽が画面と素晴らしい調和をなしています。当然のことながらこれらのアニメや音楽はもともとのストーリーに触発されてできたもので、アニメや音楽が素晴らしいのは、もともとのストーリーの質が高いからです。
実写俳優の身体言語は明らかに演技的なものですが、「教師は役者」とも言われるように、教育現場では優れて演劇的な身体言語こそが自然である場合があります。この俳優の英語発声はそういう意味で「自然」です。ここの伴奏音楽の選択も見事で、うまくリズムを創りだしています。
最後のアルファベットソングにも工夫が凝らされてあり、キーボードを使うだけでなく、なんとABCソングがBCDソングになっています。これだけでありふれたABCソングが楽しい知的挑戦になっています。
出演者紹介を見てみたら、マイクロ・ストーリーの脚本を書いたのがアーサー・ビナードさん、アニメーションが山村浩二さん、実写俳優が狂言師でバイリンガルの茂山童司さんとなっていました。先ほど紹介した音楽家も含めてどれも一流の方々のようです(もちろんそれは番組を見ればすぐにわかることですが)。
外国語学習には繰り返しが重要ということは誰も知っているところですが、これまではその繰り返しを「根性」で学習者にやらせていたきらいがあります。そうなると相当に外国語学習に動機づけられていないと学習はできません。なんとか頑張って続けても学習がなかなか楽しくなりません。
ところがこのプレキソ英語のように、英語の学習を抜きにしても楽しいアート作品だと自然と何度でも見ようかという気持ちになります。それに自然な英語が、しっかりとした方針のもとに散りばめられています。英語の入門期学習者はもとより、英語をやり直したい大人にもお薦めの番組になっています。
本来、子ども向けの作品こそはアーティストが徹底的に本気を出して本物を作るべきものです。この「プレキソ英語」はそれを見事にやっていると思います。(私の個人的お気に入りは「マイクロ・ストーリー」です。この言語・音楽・映像の融和と調和は、私が最近見たものでは「くまのがっこう ジャッキーとケイティ」でのコトリンゴの音楽と映像の一体感を思わせるような上質なものでした)。
寸劇もよくできていてうまい気分転換になりながら重要表現を印象的に提示します。
完全アニメーション(「マイクロ・ストーリー」)は色彩・配色が優美で、さらに中川俊郎(なかがわとしお)さんの伴奏音楽が画面と素晴らしい調和をなしています。当然のことながらこれらのアニメや音楽はもともとのストーリーに触発されてできたもので、アニメや音楽が素晴らしいのは、もともとのストーリーの質が高いからです。
実写俳優の身体言語は明らかに演技的なものですが、「教師は役者」とも言われるように、教育現場では優れて演劇的な身体言語こそが自然である場合があります。この俳優の英語発声はそういう意味で「自然」です。ここの伴奏音楽の選択も見事で、うまくリズムを創りだしています。
最後のアルファベットソングにも工夫が凝らされてあり、キーボードを使うだけでなく、なんとABCソングがBCDソングになっています。これだけでありふれたABCソングが楽しい知的挑戦になっています。
出演者紹介を見てみたら、マイクロ・ストーリーの脚本を書いたのがアーサー・ビナードさん、アニメーションが山村浩二さん、実写俳優が狂言師でバイリンガルの茂山童司さんとなっていました。先ほど紹介した音楽家も含めてどれも一流の方々のようです(もちろんそれは番組を見ればすぐにわかることですが)。
外国語学習には繰り返しが重要ということは誰も知っているところですが、これまではその繰り返しを「根性」で学習者にやらせていたきらいがあります。そうなると相当に外国語学習に動機づけられていないと学習はできません。なんとか頑張って続けても学習がなかなか楽しくなりません。
ところがこのプレキソ英語のように、英語の学習を抜きにしても楽しいアート作品だと自然と何度でも見ようかという気持ちになります。それに自然な英語が、しっかりとした方針のもとに散りばめられています。英語の入門期学習者はもとより、英語をやり直したい大人にもお薦めの番組になっています。
本来、子ども向けの作品こそはアーティストが徹底的に本気を出して本物を作るべきものです。この「プレキソ英語」はそれを見事にやっていると思います。(私の個人的お気に入りは「マイクロ・ストーリー」です。この言語・音楽・映像の融和と調和は、私が最近見たものでは「くまのがっこう ジャッキーとケイティ」でのコトリンゴの音楽と映像の一体感を思わせるような上質なものでした)。
子ども向けの作品というのは、人の顔よりも書類の数字ばかり見ているような大人が「どうしてそこまでこだわらなければいけないのですか?」と驚き呆れてしまうぐらいこだわって作るべきだと思います。それが大人の責任というものでしょう。
そもそも、日本の良さの一つは生活に根ざしたアート(あるいはコンテンポラリー・アート)にあります。それは近世日本に接した西洋人が、これだけの美的感覚を持つ人々が蛮人であるはずはないと言語的交流以前に敬意を払ったことや、現在でもMOMAを始めとした世界の現代美術館で日本の作品が愛されていることからもわかります。あるいは下の「てをつなごう だいさくせん」(http://www.teotsunago.com/)の画像からもわかるでしょう(もちろんこのキャラの中には日本産でないものもありますが、まあそんなことはさておき、こういったキャラが人々に愛されている文化が日本にあるということは私は重要なことだと思っています)。
とにかく素晴らしいと私は思います。NHK教育テレビは時にすごいことをやってのけますね。(いつも見ているわけではありませんが、「シャキーン」や「クインテット」あるいは「てれび絵本」や「ピタゴラスイッチ」は私は大好きです。あ、もちろん以前紹介した「高校講座ベーシック10」もいいです。同じ「色」を扱った番組ではこれを見てください。これもアートの感覚が素晴らしい。しかしこれでは足りない学習の繰り返しを「プレキソ英語」が達成しているといえるのかもしれません)。
番組の英語スクリプトは、ホームページからPDFの形でダウンロードできます。ただしマイクロ・ストーリーのスクリプトはありませんでした。これはぜひ欲しいところです。
さらに英語スクリプトが、選択すれば画面下にも出るようになればいいかとも思います。なんといっても画面下に文字を見るのが一番見やすいですし、文字も何度も目にしているうちに何となく目になじみ、音とのつながりも身につくことが期待できるでしょうから。(小学校英語教育では文字はできるだけ導入しないことになっていますが、このように楽しく見聞きする番組で自然に学習を強制されずに音声の文字表記も見ることができる選択肢があれば、それは学習者の利益になると私は考えます)。
NHKはテレビやラジオを主な媒体としているのでしょうが、これだけメディアも視聴者層もライフスタイルも多様化した現在、「公共放送」はもっともっとインターネットに移行するべきだと思います。今見たところ、NHKのツイッターの中には、今回の災害でも勇気と愛情を与えた「NHK広報局(NHKについてユルく案内) @NHK_PR)などはあっても、子ども向けのNHK教育番組用のツイッターはないようです。作っても面白いのではないかと思います。
ともあれ面白い番組でした。情報を提供してくださった方に感謝します。
追記
NHKラジオ基礎英語1は、この春から私が敬愛する田邉祐司先生が担当されています。
その他の英語系の番組はこちら。私もまたドイツ語の勉強始めようかなぁ。
そもそも、日本の良さの一つは生活に根ざしたアート(あるいはコンテンポラリー・アート)にあります。それは近世日本に接した西洋人が、これだけの美的感覚を持つ人々が蛮人であるはずはないと言語的交流以前に敬意を払ったことや、現在でもMOMAを始めとした世界の現代美術館で日本の作品が愛されていることからもわかります。あるいは下の「てをつなごう だいさくせん」(http://www.teotsunago.com/)の画像からもわかるでしょう(もちろんこのキャラの中には日本産でないものもありますが、まあそんなことはさておき、こういったキャラが人々に愛されている文化が日本にあるということは私は重要なことだと思っています)。
とにかく素晴らしいと私は思います。NHK教育テレビは時にすごいことをやってのけますね。(いつも見ているわけではありませんが、「シャキーン」や「クインテット」あるいは「てれび絵本」や「ピタゴラスイッチ」は私は大好きです。あ、もちろん以前紹介した「高校講座ベーシック10」もいいです。同じ「色」を扱った番組ではこれを見てください。これもアートの感覚が素晴らしい。しかしこれでは足りない学習の繰り返しを「プレキソ英語」が達成しているといえるのかもしれません)。
番組の英語スクリプトは、ホームページからPDFの形でダウンロードできます。ただしマイクロ・ストーリーのスクリプトはありませんでした。これはぜひ欲しいところです。
さらに英語スクリプトが、選択すれば画面下にも出るようになればいいかとも思います。なんといっても画面下に文字を見るのが一番見やすいですし、文字も何度も目にしているうちに何となく目になじみ、音とのつながりも身につくことが期待できるでしょうから。(小学校英語教育では文字はできるだけ導入しないことになっていますが、このように楽しく見聞きする番組で自然に学習を強制されずに音声の文字表記も見ることができる選択肢があれば、それは学習者の利益になると私は考えます)。
NHKはテレビやラジオを主な媒体としているのでしょうが、これだけメディアも視聴者層もライフスタイルも多様化した現在、「公共放送」はもっともっとインターネットに移行するべきだと思います。今見たところ、NHKのツイッターの中には、今回の災害でも勇気と愛情を与えた「NHK広報局(NHKについてユルく案内) @NHK_PR)などはあっても、子ども向けのNHK教育番組用のツイッターはないようです。作っても面白いのではないかと思います。
ともあれ面白い番組でした。情報を提供してくださった方に感謝します。
追記
NHKラジオ基礎英語1は、この春から私が敬愛する田邉祐司先生が担当されています。
その他の英語系の番組はこちら。私もまたドイツ語の勉強始めようかなぁ。
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