2010年8月20日金曜日

「ポスト近代日本の英語教育―両方向の「翻訳」と英語の「知識言語」化について―」スライドと配付資料



明日(2010/08/21土曜)に開催される日本教育学会第69回大会の一般研究発表部門で使用するスライドと配付資料をここで公開します。ご興味のある方はダウンロードしてください。(私の口頭発表の音声ファイルも後日掲載する予定です)






配付資料(表)は以下の通りです。発表の骨子を書きました。




ポスト近代日本の英語教育
―両方向の「翻訳」と英語の「知識言語」化について―

柳瀬陽介(広島大学)

http://yanaseyosuke.blogspot.com/

1 序論

指導要領の日本語排除、英語学力低下、口頭英語重視、方針や見通しの欠如

2 英語教育と近代日本語の成立

2.1 翻訳による書記言語としての近代日本語の成立

近代日本語は国民国家言語として政治主導で創出、西洋言語からの翻訳が貢献

2.2 近代化の完遂と「英文和訳」の隆盛そして凋落

学校制度の中で翻訳が「英文和訳」に変容、「英文和訳」は学校内外で嫌われ始める⇒いきおい余って英文解釈、作業訳、翻訳まで否定

3 情報革命と「知識言語」

3.1 情報革命のメディア生態学

情報の汎用記録・大量保存・高速検索・連結化、知識の体系化・偏在化・進化

3.2 機能分化による「知識言語」概念

社会=コミュニケーションが環節分化⇒中心/周縁分化⇒成層分化⇒機能分化、英語も知識言語として機能分化的に普及している、情報革命と高度知識社会化が英語の普及を後押し、英語は中心/周縁分化や成層分化的に普及しているのではない、英語教育は知識言語という核をもとに拡充すべき

4 ポスト近代の「言語」と翻訳

4.1 複数の言語と言語の複数性

知識言語として英語が人類を単独支配することの是非、複言語主義による複合的な言語能力観、一つの言語の中の複数性、英語教育と日本語(国語)教育は複合している

4.2翻訳の倫理性と政治性

コミュニケーションと言語成立における翻訳の重要な働き、翻訳教育の導入は短期的には無理だが長期的には検討すべき、翻訳により日本語文化が人類に貢献、日本語の維持・進化にも貢献

5 ポスト近代日本の英語教育の道筋

(1)口頭言語重視路線、(2)書記言語重視に転換: (2a)日本の知識言語を英語にしてしまう、(2b)英日・日英両方向の翻訳を部分的に導入、(2c)両方向の翻訳を全面的に導入




配付資料(裏)は以下です。発表の要旨を別の形でまとめました。




今回翻訳について考えてみて、改めて翻訳の意義を再認識することができました。翻訳は精読の究極の形の一つかとも思います。

それでは取り急ぎファイルの公開まで












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