『「ことば」という幻影』を読んで蒙を啓かれたことの一つは、"-ism"を機械的に「主義」と訳してはいけないということ。だって"alcholism"は「アルコール中毒」ではあっても「アルコール主義」ではないでしょ。"Bilingualism"だって「二言語使用」と訳した方がいい場合が多いでしょう。
あわてて辞書を調べてみたら、やっぱり次のように書いてある。
-ism
a suffix appearing in loanwords from Greek, where it was used to form action nouns from verbs ( baptism ); on this model, used as a productive suffix in the formation of nouns denoting action or practice, state or condition, principles, doctrines, a usage or characteristic, devotion or adherence, etc. ( criticism; barbarism; Darwinism; despotism; plagiarism; realism; witticism; intellectualism ).
Compare -ist, -ize.
Based on the Random House Dictionary, c Random House, Inc. 2010.
http://dictionary.reference.com/browse/ism
もちろん主義主張としての「二言語主義」といおう訳語もありうることは、より主張性の高い"monolingualism"(「単一言語主義」)や"multilingualism"(「多言語主義」)という言葉からも推測されます。でもこれらの言葉だって、場合によっては「単一言語使用」「単一言語状況」「多言語使用」「多言語状況」などと訳されるべきでしょう。
新造語である"plurilingualism"は理念性が高いから「複言語主義」でもいいと思うけど、事態記述としては「複合的言語使用」とか「複合的言語状況」と訳すべきかもしれない。
だから私は以前の記事で、"plurilingual and pluricultural competence"を機械的に「複言語主義的能力・複文化主義的能力」と訳していたけど、これは「複合的言語文化能力」とでも訳しておくべきだったでしょう(というわけで記事は訂正しました)。
私って本当に馬鹿ね。人のこと言っている場合じゃないや。
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