以下はそのエッセイの一部です。
教育の論じ方にはさまざまある。ここで紹介するのは、社会学の立場から教育を論じた著書の数々である。
なぜ社会学なのか。
ひとつには、教育という現象や営みは、教育だけをみているだけではわからないからである。とくに現代の教育が抱える問題の多くは、現代社会の変化と密接に関係している。しかも、その社会も、何十年という単位で生じる、大きな変化に直面している。(中略) 社会から切り離して、教育や子どもや若者の問題を語ることは無謀に思えるほどである。
二番目には、社会学という学問が、社会の内側にあって、自分たちを取り巻く社会そのものを問題にしようとする学問だからである。いいかえれば、社会の外側に何か超越的な基準を設けて価値判断をすることを警戒する神経を持ち合わせていると言うことだ。(中略) とりわけ、価値まみれになりがちな教育論議や、聖性を帯びやすい教育言説を読み解くためには、一度そこから距離をおく必要がある。社会学的な見方は、それを可能にしてくれる。
三番目の理由は、現代の教育の多くは、すぐれて組織的・制度的な現象であり、「システム」を通じて行われているからである。(中略) 印象論や体験論に基づく教育論もときに重要な知見を与えてくれるのだが、現代の教育がシステムとして成立していることを忘れると、思わぬ教育論議の暴走が始まる。それを避けるためにも、教育をシステムとしてとらえる社会学的な見方が求められるのである。(後略)
全文をお読みになりたい方、および推薦図書リストを見たい方は紀伊国屋書店ホームページをご覧ください。
苅谷剛彦 選 曲がり角の教育を社会学する
なお、このホームページには他にも以下のような教育図書案内もあります。良書の案内をお楽しみください。
内田樹 選 大人になるための本
佐藤学 選 教育の挑戦--求められる教師像と教師論
広田照幸 選 教室に現れる未来
ブックリスト・バックナンバー一覧
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