2009年6月18日木曜日

『京大・学術語彙データベース基本英単語1110』

大学教育で必要とされる学術英語に関するニーズを堅実な方法で確定し、それをわかりやすく使いやすい形に編集した単語集が発刊されました。大学英語教育関係者はもとより、高校や予備校の大学進学者にとってもぜひ手元においておきたい一冊かと思います。


京都大学はホームページで次のように説明しています。


「京大・学術語彙データベース基本英単語1110」を刊行します。(2009年6月11日)

 本書は、大学の全学共通教育(教養教育、一般教育)用英単語集として大学生の語彙教育に供するために作成されました。日本の大学生の語彙力低下が指摘されるなか、大学生を対象とした英単語集は、大学受験用英単語集に比べ圧倒的に数が少ない状況でした。また、文系分野から理系分野まで幅広くカバーするものに至っては、皆無といってよく、学士課程において、大学生が英語学習の拠り所とすべき指針は長い間、事実上存在しなかったわけです。このような背景のもと、本書は企画されました。

 本書に掲載された語の選出については京都大学(英語学術語彙研究グループ)が担当し、各語の意味と用例については研究社(編集部)が担当しました。

 本書の掲載語は、京都大学英語学術語彙研究グループが独自に開発した英語学術語彙データベースから選出されています。同語彙データベースは、本学の教員から推薦された英語論文誌に基づき、とりわけ学術研究の下地として必要な英語力とは何か、という問題意識から作成されました。英語論文誌の推薦には、本学の各学部・研究科が協力し、同語彙データベースに収録された語も文系・理系、特定分野という枠組みを越えて広範囲にわたっています。同語彙データベースに係る著作権については、京都大学発明評価委員会において、京都大学が同著作権を承継する決定がなされたことから、本書は、京都大学の知的財産(著作物)を利用した文系初の産学連携事業として位置付けられています。

 本書には、同語彙データベースから各語の出現頻度や出現傾向を反映する指標に従って選出された文系・理系共通学術語彙、および文系共通学術語彙、理系共通学術語彙が収録されています。このことから、本書は、全国の大学生・大学院生にとって、学部や学科を問わず役に立つことはもちろんのこと、実務で英語に携わる社会人にとっても参考になるものと思われます。
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news7/2009/090625_1.htm



この刊行における京都大学英語学術語彙研究グループのアプローチの一端は、田地野彰、他(2008)「英語学術論文執筆のための教材開発に向けて―論文コーパスの構築と応用―」『京都大学高等教育研究第14号』で知ることができます(http://hdl.handle.net/2433/70823からPDFでダウンロード可能)。

学術的であり実用的な良質な出版物の刊行を心からお慶び申し上げます。


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1 件のコメント:

よしやす さんのコメント...

時機を同じくして東京大学も『東大英単』(東京大学出版会)なるものを出しています。
http://www.utp.or.jp/bd/978-4-13-082140-7.html