2008年11月1日土曜日

浅野博先生のエッセイ:「中学指導要領解説(外国語)」のこと

浅野博先生のエッセイ:「中学指導要領解説(外国語)」のこと、を読みました。共感しましたので、ここでも紹介します。

http://blog.livedoor.jp/cpiblog01676/archives/51117391.html



特に賛同するのは以下の箇所です。


私が問題にしたいのは、この「解説」は誰を対象に書かれているのかということである。「対象は英語教師に決まっているではないか」と言われそうだが、あまりにも内容が平凡で、少し経験の長い教師にはわかりきったことしか書いてない。しかも、英語教員になりたての人や、英語教員志望の大学生などが読んでもほとんどわからないであろう。指導要領で用いられている用語について、「言語活動とは何か」とか、「現代の標準的な発音とはどういうものか」といった疑問に対する回答は見つからないからである。しかも、文献からの引用もなく、そのリストを示すことさえしないから、無味乾燥な、言い換えにすぎない記述ばかりになるのである。


私が賛同するのは、学習指導要領に

(1)基本用語の明確な定義がなく、曖昧な意味のまま記述が続いている。

(2)参考文献の引用がなく、用語や考えがどのような学術的背景を持ったものなのかがわからない。

という点です。


この結果、学習指導要領が文部科学省とゆかりが深い「関係者」や「識者」だけが深く理解するものとなり、理解が一般の英語教育関係者や学界関係者にもなかなか広がりません(また側聞するところ、「関係者」や「識者」の発言にも個人的ばらつきがあるともいいます)。さらに、学習指導要領を独力で深く理解しようとする人も、学術的情報が指導要領に記載されていないので、自分で参考文献にあたって勉強することができません。こうなると学習指導要領という公的文書の理解が公的になりません。きちんとした理解が普及しないだけでなく、学術的な議論も事実上不可能ですから、学習指導要領の理解や解釈が恣意的になることすらありえます。これではいつまでたっても組織的な英語教育はできないのではないでしょうか。

言語教育の指針が、十分に言語化されていないとすれば、これは皮肉なことです。







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