2 科学的研究とは何だったのか(授業研究その1)
2.1 応用言語学での科学的授業研究
1970年代には「授業分析」、80年代には記述的授業研究が隆盛。できるだけ「科学的」にアプローチしようと試みる。
2.2 科学的授業研究の背景となる考え
Allwright (2006)はSix Promising Directions in Applied Linguisticsという論文で、これまでの応用言語学の流れを大きく次の六点でまとめている。下線部を引いたところで、応用言語学の当初の科学的アプローチの考え方が伺える。
1. From prescription to description to understanding
2. From simplicity to complexity
3. From commonality to idiosyncrasy
4. From precision to scattergun
5 From teaching and learning as ‘work’ to teaching and learning as ‘life’
6. From academics to practitioners as the knowledge-makers in the field
In Simon Gieve and Inés K. Miller (Eds.)
Understanding the Language Classroom
つまり、授業研究とは、規範となる授業を記述し、それを単純化して、一般的な法則を精確に把握することであり、これにより研究者が教師に「仕事」としての授業法を教えることができるという考え方である。しかしこのような「法則定立的」(nomothetic)なアプローチは、そもそも授業といった臨床的な現象に対して適切なアプローチだったのでしょうか。
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