5 ケース研究について
ウィリグ(2003)のまとめによるなら、ケース研究(Case Studies)は、定義的な特徴として、次の五つを持つ。
(1)個性記述的視点:研究者は、一般的なことより特定の具体的なことに関心がある。その目的は、個別のケースを、その特殊性から理解することである。これは、法則定立アプローチとは対比的である。
(2)文脈的データへの注目:全体論的アプローチをとり、ケースを文脈の中で考える。
(3)トライアンギュレーション:さまざまな情報源からの情報を統合する。
(4)時間的要素:時間経過にともなうプロセスに関心をはらう。
(5)理論への関心:理論の生成を促す。
だが、ケース研究はさらに下位区分される。引き続きウィリグ(2003)のまとめを借りるなら、ケース研究は次のような観点で区分される。
(1)固有 対 道具的ケース研究:固有ケース研究(intrinsic case study)が扱うのは、そのケース以外の何者でもない。反対に、道具的ケース研究(intrumental case study)では、ケースはより一般的な現象の例である。
(2)単一 対 多元的ケース研究:単一ケース研究(single-case study)は単一のケースを詳細に探求し、研究者個人の関心事がわかったり、既存の理論を現実のデータへ適用する可能性を検証したりすることができる。反対に、多元的ケース研究(multiple-case study)デザインは、新しい理論を作り出す機会となる。このデザインでは、ケースを比較分析することで、理論を発展させ、修正する。
(3)記述的 対 説明的ケース研究:記述的ケース研究(descriptive case study)は、その文脈の中での現象の詳細な記述を目的とする。反対に、説明的ケース研究(explanatory case study)は、関心下の出来事を説明することが目的である。
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