2007年5月12日土曜日

「俺がこの世を変えてやる」の危うさ

研究とは時にあまりにもまどろっこしく、役に立たないもののようにも思えますが、クールな態度というのは堅持しなければならないものでしょう。身体運動の実践家の言葉です。

現在の私は、あくまでも縁のあった人達に、現代の常識として広まっているトレーニング法や稽古法を見直し、発想を転換してもらうことを促すために活動しているのであって、"正しい"稽古法を広めているわけではないのである。


 また、私のこうした立場の堅持は、かつて「これが正しい」とか「最高」と言って絶対化して人々に普及させようとした大小のカリスマ達が繰り返してきた結末の惨状が、あまりにも明確に目に浮かぶからかもしれない。


 「俺がこの世を変えてやる」という意気込みは、いつの間にか支配欲に呑み込まれ、名誉欲に転がされ、権力欲に乗っ取られ、"世の為""人の為"と言いな がら、そうした諸欲の泥沼から抜けられなくなって、周りを見回せば自分の顔色をうかがうイエスマンばかりに取り巻かれているという事になっていたりする。


甲野善紀 

http://www.shouseikan.com/zuikan0703.htm#4

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