この度、研究社
私としては以下の21冊について言及する中で、「英語教育の研究の対象や方法は多様化の方向には向かっているかもしれない。だが、研究は人文系がもつ物語の知恵を再生しているのだろうか。もっと根源的に問うなら、そもそも『英語教育学者』は何のために・誰のために研究をしているのだろうか」という流れで2017年度の英語教育研究を総括しました。
限られた紙面(400字原稿用紙で約20枚)でしたので、ここに紹介すべき本をすべては紹介しきれていないのが現状です。割愛してしまった本の著者や関係者にはお詫びをしなければなりませんが、私としては以下の本を取り上げました。
機会があれば『英語年鑑 2019』をご覧ください。
(注)正しい表記は「研究社」であり「研究社出版」ではないとのご指摘とご教示を研究社さまからいただきましたので訂正を加えました。
小社の創業当時(1907年)の社名は英語研究社。これが1916年に研究社に改称されます。1947年、株式会社研究社と研究社出版株式会社に分離するのですが、これが2001年に再び統合されます.従って、1947~2001年の間には、この2つの社名の出版物が存在します。現在はすべて研究社の出版物です。 https://t.co/j4aNChBS3J— 研究社 (@Kenkyusha_PR) January 25, 2019
私は長年「『出版』をつけなければならない」と思い込んでいました。この自分の不注意を恥じると共に、お名前を間違えるという大変な無礼をしてしまったことを心からお詫び申し上げます。
以前所属していた大学で広報の仕事をしていた時に、もっともやってはいけない間違いの一つは名前の間違いだということを痛い思いと共に学んだはずなのですが、また繰り返してしまいました。一層気をつけなければと思います。
研究書が拓く英語教育の多様性
(1) 松村昌紀 (編著)『タスク・ベースの英語指導―TBLTの理解と実践』(大修館書店 2017. 6)
(2) 森本俊・佐藤芳明(編著)『多文化共生時代の英語教育』(いいずな書店 2017. 12)
(3) ビル・ヴァンパテン、アレッサンドロ・ペナティ(著)『第二言語習得キーターム事典』(開拓社、2017. 6)
(4) 東條弘子『中学校英語科における教室談話研究』(風間書房 2018. 1)
(5) ジュディット・コーモス、アン・マーガレット・スミス(著)『学習障がいのある児童・生徒のための外国語教育』(明石書店 2017. 10)
(6) 湯澤美紀・湯澤正通・山下桂世子(編著)『ワーキングメモリーと英語入門』(北大路書房 2017. 8)
(7) トムソン木下千尋(編)『外国語学習の実践コミュニティ』(ココ出版 2017. 7)
英語教育実践書は人文系の知恵を再生できるのか
(8) 酒井英樹・滝沢雄一・亘理陽一(編著)『小学校で英語を教えるためのミニマム・エッセンシャルズ』(三省堂 2017. 7)
(9) 江尻寛正『はじめての小学校英語』(明治図書 2017. 4)
(10) 中嶋洋一(編)『「プロ教師」に学ぶ真のアクティブ・ラーニング』(開隆堂 2017. 8)
(11) 山岡大基『英語ライティングの原理原則』(テイエス企画 2018. 1)
(12) 勝又美智雄『最強の英語学習法』(IBCパブリッシング 2017. 12)
(13) 関山健治『英語辞書マイスターへの道』(ひつじ書房 2017. 7)
(14) 日本英文学会(関東支部)(編)『教室の英文学』(研究社 2017. 5)
(15) 外山滋比古『日本の英語、英文学』(研究社 2017. 11)
批評的な書籍が問いかける「英語教育プロパー」のあり方
(16) 鳥飼玖美子『英語教育の危機』(筑摩書房 2018. 1)
(17) 鳥飼玖美子・大津由紀雄・江利川春雄・斎藤兆史(著)『英語だけの外国語教育は失敗する』(ひつじ書房 2017. 5)
(18) 藤原康弘・仲潔・寺沢拓敬(編)『これからの英語教育の話をしよう』(ひつじ書房 2017. 8)
(19) 阿部公彦『史上最悪の英語政策』(ひつじ書房 2017. 12)
テスティング関係
(20) 根岸雅史『テストが導く英語教育改革』(三省堂 2018.8)
(21) 小泉利恵・印南洋・深澤真『実例でわかる英語テスト作成ガイド』(大修館書店 2017. 8)
ちなみに個人的独断と偏見で、以上の本の中から「およそ英語教育に関係する方なら、これだけは読んでほしい」 という本を挙げるとしたら (16) と (19) になります。いずれも狭い意味の「英語教育学者」(英語教育プロパー)の方でないところが示唆的です。
0 件のコメント:
コメントを投稿