■ イベントの概要
8月4日(日)に大阪で、「小学校英語教育 そこまで言って委員会 - 現場からの逆襲」が開催されます。大阪府教育長の中原徹氏の全体講演を受け、小学校英語教育関係者が、率直に、現実的に、何よりも子どもの未来のために話し合う企画です。
日時: 8月4日(日)
時間: 開場:9:45 開演10:15 終了16:30
参加費: 2,500円
場所: 大阪市立男女共同参画センター 北部館 (クレオ大阪北)
主催: 特別非営利活動法人 グラスルーツ OBK児童英語講師自己研鑚の会
専用HP: http://grassroots-edu.com/obk0804/
専用Facebook: https://www.facebook.com/obk.sokomadeitte
参加申込: http://kokucheese.com/event/index/98417/
問い合わせ: 児童英語講師自己研鑽の会 obkosaka@gmail.com
中原徹氏は、ウィキペディアによれば1970年生まれで早稲田大学卒。24歳で日本の司法試験に合格し東京の法律事務所に2年間勤務。その後米国ミシガン大学ロースクールに入学し、ニューヨーク州およびカリフォルニア集の弁護士資格を取り、2009年まで米国大手法律事務所に勤務。2010年より大阪府立泉高等学校に民間人出身の校長として就任。2013年より大阪府教育長に就任、という経歴をもっています。
教育関係の著作には、以下のものがあります。
英語教育改革に力を入れている教育長として思い切った直言が聞ける機会になるのではないかと思います。この教育長の見解は、大阪府の英語教育に直接的な影響を与えるだけでなく、他所の英語教育にも間接的・波及的に少なからずの影響をおよぼすと考えられます。
■ ファシリテーターとしての私の方針と目的
私はこのイベントに「ファシリテーター」として参加し、中原教育長の発言を受けての午後の討議の司会をしますが、企画の段階から私は、敵対的でなく率直で、教条的でなく現実的な討議ができるイベントにしたく思っています。
企画会議で私が提案した方針は以下のようなものです。
・「反対のための反対」や「賛成のための賛成」はやめる。
・対立が生じるにせよ、不毛な対立ではなく、よりよいものを創り出すための対立を目指
・決して「立場」からの発言をせず、必ず子どものことを最優先しての本音で語る
・討議では時折ボケて笑いを取りながらw、心地良い雰囲気でお互いに正直に語れるようにする。
このような方針を立てたのは、何よりも以下を目的としたいと考えたからです。
本音をなかなか言えない現場の声を聞き出し、よりよい小学校英語教育を創りあげる
英語教育改革を提言する為政者・行政者・民間人、そして英語教育学者のほとんどは、小学生・小学校の生態を知りません。(先日、就任三ヶ月で退職した民間人小学校校長はその典型例と言えるでしょう。参考:内田樹氏のエッセイ(http://www.mishimaga.com/gaihu/009.html)。だからこそ現場の教員の声をもっと広い層の方々に伝えなければならないと考えます。
■ 英語教育関係者はもっともっともっと小学生と小学校教師に学ばなければならない
これを私は、昭和女子大附属昭和小学校校長の小泉清裕先生に学んだのですが、小学校英語教育に対して色々と改革案を提言する者、また実際に教室に入り指導する者は、もっともっと小学生と小学校教師から学ぶ必要があります。さもないとピント外れの指示を強制してしまうことになるからです。小泉先生は以下のように述べます。
中学校の英語教師が小学校の英語活動に本気で参画するのならば、まず、中学校の英語教育と小学校の英語活動の違いを徹底的に理解してから臨むことです。私自身は長年中学校、高校の教師をしていただけに、その匂いがぷんぷんしていたに違いありません。その匂いを消すのにはよほどの覚悟が必要になります。まさに滝にでも打たれてから臨むような気持ちでやる覚悟がほしいのです。 (小泉 2009 155ページ)
この著書に書かれている小泉先生の経験(中・高の英語教師を経て大学教師になり、大学で英語・英語科教育法を教えるようになるが、小学校英語教育に関わり始め、自らの古い英語教育観では小学生に対していい英語教育ができないことを痛感し、学長に嘆願して、大学から小学校に所属を変えてもらい現在にいたる)を読めば、上記の「滝に打たれてでも」というのは決して大げさな表現ではないことがわかるはずです。
同書の後書きで小泉先生はこう言います。
私自身は30年以上の教師生活の中で、その半分の期間を小学校英語の問題に真剣に取り組んできました。しかし、まだそおの入り口にやっと立てただけの気がしています。入り口に立つまでにしてきた最大のことは自己否定です。自分が受けてきた教育、そして自分が中学校、高等学校の英語の教師としてやってきたこと、大学で教鞭をとっていることの肩書きや自尊心などすべてをかなぐり捨てて、新しい自分になることを目指してきました。そのことでやっと少しだけ見えてきたものがありました。(小泉 2009 226-227ページ)
その「見えてきたもの」を凝縮したのが上で一部を引用したの『現場発! 小学校英語子どもと親と先生に伝えたい』です。私が知る限り、日本の小学校英語教育を真剣に考えるための最も優れた本です。(これをその当時の大修館書店『英語教育 増刊号』の年間書評を書く時点でで見落としていたのは、私のもっとも愚かな過ちでした)。
上掲書の理念を踏まえて、具体的なアイデアを書いたのが以下の本です。これは、上掲書で私たちが小学校英語に関する思い込みから(少しでも)解放されれば、小学生の実態をよく知る小学校教師に英語授業(外国語活動)の創造性に火をつけてくれる本で、私は小学校現場に入る度に小学校の先生方にこの二冊を薦めています。
話を「小学校英語教育 そこまで言って委員会 - 現場からの逆襲」に戻しますと、このイベントでは、できるだけ小学校教師の声を拾い、その声から(小学校現場のことを実はよくわかっていない)英語教育関係者や一般市民が学び、同時に小学校教師も声を聞いてもらう経験から、何か大切なことを学ぶ機会としたく思っています。
■ イベントでの主なトピック
「小学校英語教育 そこまで言って委員会 - 現場からの逆襲」としては、とりあえず以下のトピックを立てて議論をする予定です。
1 小学校でのフォニックス導入について
2 小学生の英検受験の奨励について
3 小学校外国語活動の「教科化」について
4 小学校時代に適切な英語教育とは?
5 トップダウン決定とボトムアップ集約について
6 いわゆる「グローバル人材」について
7 その他
小学校英語教育は、今更ストップできるようなものでないと私は認識しています。それならば、それをできるだけよいものにしなければならないというのが現場の発想法かと思います。今回はそんな現場ならではの現実的な(しかし理想も批判精神も忘れない)議論を深められればと思っています。
■ FacebookページやTwitterなどのSNSでぜひサポートを
私としては一人でも多くの方にこのイベントに来てほしいと思っていますが、もし当日来れない方も、以下のFacebookページに「いいね」マークをつけてくださったり、リンクをシェアしてくださったり、書き込みをしてくださったりしてくれたら大変にありがたいと思います。またTwitterなどでの拡散もありがたい限りです。
英語教育関係者は今こそ(ゆるやかに・しなやかに)連帯すべきと私は考えます。このイベントだけのためでなく、今後の日本の学校英語教育の健全な発展のためにSNSでのサポートをお願いする次第です。
■ 匿名可能の投書箱を設置します
当日イベントに参加して声を上げることもできないし、FacebookなどのSNSで発言するにも差し障りがあるし・・・と躊躇されているの声こそが小学校英語教育を改善するのに重要だと私は考えています。
以下に、匿名可能の投書箱「英語教育:学校教師の声」を作りました。ぜひそこにあなたの声(メッセージ)を書いてください。メッセージを8/4の「小学校英語教育 そこまで言って委員会 - 現場からの逆襲」、および今後のために使わせてもらいます。
なおメッセージを直接引用する場合などに、メッセージ内容の事実確認が必要だと認められた場合は、emailで連絡をさせてもらうことがあるかもしれませんので、投稿者のメールアドレスを書く欄を設けました。虚偽のメッセージを防ぐためでもありますので、ご理解の上、ご記入ください。なお当然のことながら、そこで頂いたメッセージは管理者である私(柳瀬陽介)が責任をもって管理し、メッセージに関する連絡以外の用途には決して使いませんのでどうぞご安心ください。
なお、この投書箱「英語教育:学校教師の声」のURLは以下の通りです。どうぞご自由に拡散してください。
投書箱「英語教育:学校教師の声」
https://docs.google.com/forms/d/1shHZ2iG6QrcFieQKU-SII_4cPxrzLKSw4rfB1LTkEEg/viewform
https://docs.google.com/forms/d/1shHZ2iG6QrcFieQKU-SII_4cPxrzLKSw4rfB1LTkEEg/viewform
■お申込み
8/4のイベントへの参加申込は以下からお願いします。一人でも多くの参加をお待ちしております。知人・友人にもお知らせいただければ幸いです。
英語教育、とりわけ小学校英語教育の改善には、衆知を集める必要があります。このブログの読者の皆様、皆様一人ひとりができることで結構ですから、学校英語教育改善のためにできる行動をしていただければと願ってやみません。どうぞよろしくお願いします。
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