2008年6月2日月曜日

大谷泰照『日本人にとって英語とは何か』大修館書店

現在、大修館書店『英語教育』10月増刊号「英語教育図書 - 今年の収穫・厳選12冊」の原稿を準備していますが、その中で読んだ大谷泰照『日本人にとって英語とは何か』(大修館書店)は素晴らしい本でしたので、ここでも短くお伝えしておきます。

なぜ私はこの本を薦めたいのかということについては、上記の原稿で詳しく説明しますが、下記の一節はその論旨とは独立して、広く英語教育関係者、政策決定者、市民が共有すべき見解かとも思いましたので、ここで引用します。


すでに述べたように、政府は今日、5000人を超えるALTを海外から招致している。しかし、はるばる来日した彼等が、時にはその6割もが、1年後には契約更新をすることもなく帰国してしまうことも考えれば、その膨大な国のALT用予算の半分でも、なぜ日本人外国語教師の海外研修に使おうとしないのか。彼らなら、ALTとは違って、わずか1年どころか、定年に至るまで、長期にわたって海外研修の成果を教育現場に還元し続け、国民の血税をはるかに有効に活かすことが出来るはずである。なお、平成15年度、文部科学省派遣による日本人中学・高校英語教師の海外12か月研修者は、わずかの11人に過ぎない。(206ページ)


この本の面白さは、もちろんこの主張だけに尽きるものではありません。様々な具体的データで、深い現実的思考が展開されています。しかも読みやすい。皆様、どうぞこの本をお読み下さいませ。

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