2011年8月9日火曜日

MITのSuzanne Flynn教授が10/23(日)に広島市内で講演会を開催

ヒッポファミリークラブが、マサチューセッツ工科大学のスザンヌ・フリン(Suzanne Flynn)教授の講演会を10/23(日)に下記の要領で広島市内で開催しますことをここでもお知らせします。この講演会は本来は3月に予定されていたものですが、震災の影響でキャンセルされていたものです。主催者のヒッポファミリークラブは「事態が落ち着いたら必ずまた日本に行きます。西日本のみなさんに会えるのを楽しみにしています。」というフリン教授の言葉が早くも実現したことを喜んでいます。


講演会「7ヶ国語で話そう」人間はどのように言葉を獲得するのか。

 日時:10月23日(日)午後2時~4時
 場所:広島県立総合体育館、中会議室
 講師:スザンヌ・フリン教授(マサチューセッツ工科大学教授 言語学)
 主催:ヒッポファミリークラブ 西日本
 講演:文部科学省、広島市、広島市教育委員会、大竹市、大竹市教育委員会
 申込み要 参加費:500円 託児:有(お一人300円) 
 


申し込みは、下記のパンフレット(表と裏)をダウンロードして行って下さい。








追伸

フリン先生の講演会は、10/22(土)には福岡で開かれます。詳しくはヒッポファミリークラブ西日本ホームページをご覧ください。

広島大学名誉教授 松村幹男先生を偲んで



もはや旧聞に属しますが、広島大学名誉教授で、私が所属する「教英」講座を長い間お支え下さいました松村幹男先生が病気療養中のところ7月23日にご逝去されました。享年80歳でした。神道にのっとり、24(日)に通夜祭および遷霊祭、25(月)に葬場祭 が執り行われました。松村先生の御人徳を偲び、多くの人々が哀しみを共にしました

松村先生は、昨年に肺がんが見つかって以来病気療養に励まれておりましたが、昨年10月には学会発表をし、今回のご逝去の直前までも新聞の切り抜きをして、ご専門である英語教育史に少しでもご貢献なさろうと努力を重ねておられました。

まさに至誠のお方でした。驕り高ぶることから最も遠いところにおられ、派手なことも好まず、研究と教育、そして数々の行政職などにひたすら献身されていたお方でした。家庭人としてもご家族に慕われる幸福なお方でした。

私は学部時代から松村先生の薫陶を受けましたが、松村先生の美徳の千に一つも身につけないまま、馬齢を重ねてしまっていることを改めて痛感します。かつて夏目漱石は若き芥川龍之介に次のような言葉をおくったと言われています。


牛になる事はどうしても必要です。吾吾はとかく馬になりたがるが、牛には中々なり切れないです。僕のやうな老獪なものでも、只今牛と馬とつながつて孕(はら)める事ある相の子位な程度のものです。

あせつては不可(いけま)せん。頭を悪くしては不可せん。根気づくでお出でなさい。世の中は根気の前に頭を下げる事を知つてゐますが、花火の前には一瞬の記憶しか与へてくれません。うんうん死ぬまで押すのです。それだけです。決して相手を拵(こし)らへてそれを押しちや不可せん。相手はいくらでも後から後から出て来ます。さうして吾吾を悩ませます。牛は超然として押して行くのです。何を押すかと聞くなら申します。人間を押すのです。文士を押すのではありません。


この言葉をこうして引用してみると、この漱石の言葉はまさに松村先生が仰りそうな言葉であるように思えます(もちろん私に龍之介のような才能があるなどとは含意していません)。松村先生はこのような言葉を常に背中で表現されていたように思います。

自らの専門を英語教育史と定めて、定年後も着実に研究を重ね、毎年一度は研究発表をすることをお亡くなりになるまでお続けになった松村先生の後ろ姿を、私などは愚かにも当たり前のように思っておりました。しかしお亡くなりになり、もう松村先生の背中を見ることができないことを知った時に、いかに偉大な背中を ―寡黙な背中を― 私は見てきたのかと思いを馳せる次第です。私は松村先生が以前にご活躍なさった講座の末席を汚している身分ですが、この松村先生がお作りになった「人間を押す」文化をどれだけ継承できるのかと思わざるをえません。

今一度改めて松村幹男先生のご冥福をお祈りします。松村先生が支えてこられたこの講座をさらに発展できるよう、恣意奔放でネズミ花火のように派手な音ばかり鳴らしている自らの愚かさを再度認識し、少しでも仕事に励みたいと思います。

松村幹男先生、今まで本当にありがとうございました。安らかにお眠り下さい。






2011年7月16日土曜日

田地野彰先生と田尻悟郎先生それぞれによる学習英文法書

慶應義塾大学の9.10学習英文法シンポジウムの準備のために、以下の2冊の本を読み、シンポのための論旨をある程度ここにまとめましたが、この2冊はやっぱり良かったです。



は、『<意味順>英作文のすすめで提示された考えが、非常に見やすいレイアウトで提示されたもので、英語のやりなおしのためにいい本かと思います。学習文法書は、読むこともさることながら、使ってナンボだと思えます。





は、本もさることながら付属のCD三枚での田尻先生の講義を聞けるだけで、もう即買いです(これで1200円とは信じがたい価格設定です)。田尻先生の話を一度でも聞いたことがある人は誰でも知っていますように、田尻先生の語りは絶妙で、田尻先生という一人の人間から様々な声が飛び出してきます。それでいて地の語りはプロのアナウンサーのように落ち着いて聞きやすい声ですから、このCDなら何度も聞けます。学習者なら何度も聞いているうちに英文法の内容が頭に入るでしょうし、教師なら何度も聞くうちに田尻先生の巧みな語りを少しは自分のものにできるでしょう(教師の基本の一つは話芸です)。


ともあれ、2冊ともお勧めです。

私としては2冊の本に触発されて、学習文法についていろいろと考えることができました。これからも考え続けて9月のシンポに備えたいと思います。


追記(2011/07/17)

この記事を掲載してある方からメールをいただきましたが、この2冊を読んで益する層の一つは、小学校で英語教育に携わる方々かなとも思え始めました。小学校で英文法を明示的に教えることはないでしょうが、小学校の先生方がこのような英文法の発想を知っておくと、授業に深みがでてくると思います。