2007年12月29日土曜日

『オキナワを歩く/元白梅学徒隊員沖縄戦を語る 学生は何を見何を感じたか沖縄戦跡巡礼の3日間』

沖縄のいわゆる「集団自決」(以前の言い方なら「玉砕」。ある人々の主張では「強制集団死」)に関しては、今年、教科書検定での教科調査官による記述削除の検定意見、それに抗議しての沖縄での県民大会、その大会参加人数に関する論争、検定意見の再修正、それに関する論争などと激しい動きがありました。私の邪推に過ぎませんが、この揺れ動きの背後には、参議院選挙での自民党の敗退、安倍首相の急失速的退陣などの要因があったのかもしれません。

しかしこれらの動きや論争で、どのような立場をとろうと、どのような意見を持とうと、戦争によって、無実の人がむごたらしい生き地獄に落とされ、多くの人が命を失い、生き残った人々も深い傷を身体と心に負い続けなければならないことに反対することでは一致するはずです。

我々が生身の人間である限り、戦争というのがどれほど言語に絶する悲劇をもたらすのかということは、戦争の事実を知る限り否定のしようがありません。

戦争は起こしてはいけない。一度起こしてしまった戦争を止めることは、恐ろしく困難であることは、ベトナム戦争時の国務長官であったロバート・マクナマラもドキュメンタリー映画 “Fog of War”で証言している通りです。


歴史の事実に学ぶ限り、戦争がいかに人間を蹂躙するか、そして戦争は一度起こるとどれほど止めがたいかということは、イデオロギーや考えの違いを超えて、私たちは共通に合意できることではないでしょうか。

しかし、私たちは(私も含めて)おそろしく歴史の事実を知らない。というより知ろうとしない。目の前の仕事あるいは快楽に自分を埋没させてしまう。しかし長期的に考えれば、私たちが戦争をできうる限り引き起こさないこと、一度起きてしまった戦争はできうる限り速やかに集結させ、外交的・政治的手段での解決にもってゆくことを学ぶことほど大切なこともないのかもしれません。

このDVD付きの小冊子は、広島経済大学の岡本貞雄先生のゼミ生が沖縄戦跡を三日間歩き通し、戦争の悲劇を少しずつ学び、そして元白梅学徒退院の中山きくさんの証言を得るまでを記録したものです。メインはDVD映像と言えるかもしれません。ぜひ中山きくさんの事実だけを語る、凛とした証言と、ゼミ生の静かな変化の様子を見てください。


多くの中高生が修学旅行で沖縄を訪れます。その中で、沖縄の史実に学び、戦争と平和といった大きなレベルだけでなく、日常生活のいじめを防ぐなどの身近なレベルでも成長する中高生もいれば、戦跡の前でにやけたピースサインで「イェー」と言いながら写真に写る中高生もいます。沖縄に修学旅行に生徒を連れて行く先生方は、ぜひこの1000円あまりの小冊子つきDVDを買ってご覧ください。

もちろん教師だけでなく、私たちが沖縄を含む日本国に住む限り、いや、私たちが同じ生身の身体を持ち、むごたらしく殺されることを拒む人間である限り、ぜひぜひ機会を見つけてこのような歴史の事実に学びましょう。

私自身歴史を知らない人間として、このような小文を書く次第です。

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