2012年8月16日木曜日

研究論文を書くためのチェックリスト(大学院生Aさんによるまとめ)



以下は、高校教師業を休職してフルタイムで大学院で学ぶAさんが、The Craft of Research を読んでまとめた「研究論文を書くためのチェックリスト」です。地道にコツコツと学ぶAさんは、若い院生にとてもいい影響を与えています。このチェックリストをご本人の許可を得てここに転載します。




研究論文を書くためのチェックリスト



Ⅰ 研究、研究者、読者の意味を理解するために


1.「研究」の定義と意義が語れますか?

⇒広義には、情報を集めて、問題(problem)を解決するために立てた問い(question)に答えようとする試みはすべて「研究」と呼べます。

⇒意義の1つとして、研究者自身あるいは所属コミュニティーの無知や偏見を取り除くことで人類の進歩につながると言えます。


2.なぜ論文を書くのですか?なぜ「研究」論文でないといけないのですか?

⇒先ほどの意義として述べたことの他に、以下の3つの能力が養えます。

(1)論文を書くことで、自分が読んで得た知識を記憶にとどめておくことができます。
(2)論文を書くことで、読んだことに関するより深い理解につながります。読んだ内容を整理する中で、新たな発想やつながり、因果関係に気付き、それをふまえてより深い議論が展開できます。
(3)論文を書くことで、自分の考えを客観的に吟味することができます。

⇒「研究」論文の形式に則って論文を書くことで、特定のコミュニティー(分野)に関する問により良く答えるえることが出来るのです。また、この技術は後に関わるであろう職業分野においてもきっと役立ちます。


3.自分と読者の役割について考えたことがありますか?

⇒他者を想定して思考することに勝る思考はないのです。次の4つの事柄を確認しておきましょう。

(1)読者層を想定してください。読者は(専門性の高い研究者か、知識の豊富な一般読者か、テーマについて殆ど知らない一般読者か)。
(2)読者の期待に応えようとしてください。読者は、(楽しみたいだけか、新事実が知りたいのか、テーマをより良く理解したいのか、世の中の実際的な問題を解決したいのか)。
(3)読者の知識を想定してください。読者は(テーマにつてどこまで知っているのか、問題(problem)について知っているのか、研究課題として認めてくれるのか)。
(4)主張(claim)に対して読者がどう反応するか想定してください。読者は(常識に反するものとして捉え反論してくるか、結論に至るまでの手順をしっかり示して欲しいか)。



Ⅱ 問い(questions)を立てて、答え(answers)を見つけるために

1.トピックの探し方を知っていますか?

⇒興味のあるトピックを選ぶことがやる気を持続させます。ある程度の研究分野が決まっていると想定した場合、インターネットのChronicle of Higher Educationなどで他の研究者の興味の方向性を探るのもいいでしょう。また、最近のジャーナルに目を通すのもいいでしょう。

⇒トピックは漠然としたものではなく具体的なものに絞りましょう。例えば、Free will in Tolstoyではなく、In War and Peace, Tolstoy describes three battles in which free will and inevitability conflict.のように、主張に近い形にすることで読者の興味を引き立てます。


2.問い(questions)の立て方を知っていますか?

⇒トピックに関してとことんとん問うていきましょう。「だれが、何を、いつ、どこで」から「どうやって、なぜ」まで。批判的、系統的にトピックの歴史や位置づけ、分類などについて問いを立てて記録して行きましょう。否定的な問い(「何故~ではなく‥だったのだろうか」)や仮定的な問いを立てるのも有効です。先行研究で今後の課題として取り上げられているものも参考になります。良い問いが見つかったと思ってもそこで立ち止まらないで。最終的には、ある程度絞られた情報で対処できる問いを立てることになります。(トピックが決まったからといってすぐに情報収集に走ると手に負えないことになります)

⇒さらに、その問いが読者のSo what?に応えられる価値のあるものか吟味する必要があります。価値ある問いにするための(3)つのステップに自分の考えを当てはめてみましょう。

Step1:空欄にトピックを入れてみましょう:I am studying on …
Step2: トピックに関して知りたいことを入れましょう:I am studying on …. because I want to find out who/ what/ when/ where/ whether/ why/ how……
Step3:何故そのことを知りたいのか、読者にとってのメリットを述べましょう: I am studying on …. because I want to find out ……, in order to help readers understand …..


3.問いを問題(problem)に仕上げる方法を知っていますか?

⇒基本的には上記のステップを踏むことで、問題になりえますが、Step(3)はStep2を解決することによってのみ立てられるより大きな問いになります。初心者は、実際的な問題解決につながる問いを立てたがりますが、純粋に(pure)アカデミック(conceptual)な問いこそ尊いものです。実際的な問題解決を考えたいのであれば、前節の(3)つのステップに加え、第4番目のステップを導入するべきでしょう。例えば、

Step1: Topic: I am studying how nineteenth-century versions of the Alamo story differ
Step2: Conceptual Question: because I want to find out how politicians used stories of great events to shape public opinion,
Step3: Conceptual Significance: in order to help readers understand how politicians use popular culture to advance their political goals,
Step4:Potential Practical Application: so that readers might better protect themselves from unscrupulous politicians.

その他にも、先生や友達に相談したり、自分が書き上げた草稿の中にヒントがあったり、読んでいる情報源の中に矛盾点を見つけたりと言った問題の見つけ方があります。


4.ソース(情報源)の活用方法を心得ていますか?

⇒研究課題を検証するためのデータをソースの中から見つける必要があります。ソースには(3)種類あります。第1のソースは、直接の証拠となる現物やデータなどです。第2のソースは、先行研究などの研究結果を指します。第(3)のソースは、一般読者に向けた書物や記事などです。ソースは図書館やオンラインなどで見つけることが出来ますが、探す時のポイントを示しておきます。

本からの関連した情報
(1) 目録を見てキーワードを探す。自分の研究に関するキーワードのあるページを探す。
(2) キーワードがたくさんでてくるチャプターの最初と最後のパラグラフに目を通す。
(3) 序章、はじめに、サマリーなどに目を通す。
(4) 最後のチャプターのはじめと、最後の2,(3)ページを見る。
(5) 特集であれば、編集者の序論を見る。
(6) 自分の研究との関連書籍をチェック。

論文の場合
(1) アブストラクトを読む
(2) 序論と結論に目を通す。または、最初の6,7段落と最後の5,6段落分に目を通す。
(3) 各セクションの見出しと最初と最後の段落を読む。
(4) 関連書籍をチェックする。

オンラインソース
(1) 印刷記事なら、上記に倣う。
(2) Introduction, overview, summaryを見る。なければ、about the siteを探す。
(3) 同サイトに、site map, Indexがあれば、キーワードを入れて参考ページを見てみる。
(4) 同サイトにsearch供給源があれば、キーワード検索してみる。

※自分の論文も同じような見られ方をするから、分かりやすくまとめておきましょう。
また、情報源を読む前に、必ず文献情報をすべて記録しておきましょう。自分の都合のいい読みをしないように、また、情報を捻じ曲げないようにしましょう。特に、先行研究などの第2ソースは、自分の論証(argument)に適切な証拠として大いに利用できます。ただし、引用、パラフレーズ、サマリなどの使い分けを適切に行なってください。



Ⅲ 主張(claim)を補強(support)するために

1.論証(argument)とは何か知っていますか?

⇒まず、議論を展開する上で必要な用語の整理をしておきましょう。
具体的な問い(question)に対して、答える(answer)ことがリサーチクエスチョン(research question)です。
もっと大きな問題(problem)に対しては解決(solution)という用語が当てられます。
この研究課題への解決を根拠(reason)も含めて形式的に示したものが論証の命題(argument: X is Y because Z)と言えます。
そして、理由を除いた部分が主張(claim: X is Y)となります。
ここでのZは理由(reason)を表し、このZ(理由)を支持するものが証拠(evidence)となります。たいていの場合、一つの主張に対して理由(reason)は複数考えられ、各理由に対して、複数の証拠(evidence)が求められます。ただし、これらの理由は一貫して主張をサポートする必要があります。
この関連性を保証する(裏付ける)のが根拠(warrant)です。理由(reason)や証拠(evidence)が主張(claim)の理由として裏付けられるために根拠自体に論証(argument)が必要な場合もあります。
論証(argument)を立てる場合、次の5つのことを確認する必要があります。

(1) 主張(X is Y)は何ですか?
(2) 主張を支える根拠・理由(Z)は何ですか?
(3) 理由を支える証拠(evidence)は何ですか?
(4) 反対意見や解りにくさを想定し想像上の読者に反応できますか?
(5) 主張と関連した理由であるといえる根拠は何ですか(warrant)?


2.主張(claim)の補強の仕方を理解していますか?

⇒7つのポイントを挙げておきます。

(1)自分の主張の的が絞れているか。
(2)議論に値するだけの主張になっているか。
(3)コンセプチュアル(アカデミック)な主張をプラクティカル(実際的)なものに膨らましすぎていないか。(せいぜい、結論で述べるくらいにしておきましょう。)
(4)初期の主張(X is Y)は長くてもいいから細かく特定して書けているか。(簡潔にしたい場合は後から調整できます。)
(5)自分の主張を肯定から否定に、否定なら肯定に変えたとき、明らかに嘘だとわかる、あるいは、とるに足らないことだと思うような議論になっていないか。(その場合は価値ある議論とは言えません。)
(6)謙虚に自分の限界を知っているか。(主張の限界を述べた後、再度主張を述べましょう。)
(7)限定表現(hedges)を使って断言しすぎないように主張を書いているか。(ただし、具体的な証拠はハッキリと主張しましょう。)


3.理由と証拠の違いが説明できますか?

⇒理由(reason)は、論証(argument)を組み立てます。証拠(evidence)は理由を正当化するためのデータであるべきです。論証(argument)を組み立てるとき、ストーリーボードを使いながら、主張に対して理由・根拠と証拠が一貫性を保つように配列します。証拠データの筋書きを都合のいいように変えることがないように注意してください。ストーリーボードとは、主張を書いたカードを元に、理由(reason)を書いたカードを数枚、証拠(evidence)が書かれたカード数枚を配列し、俯瞰的に議論を配列するやり方です。理由・根拠と証拠が結びつくように信憑性のあるデータを証拠として揃える必要があります。だから、ストーリーボードに載せる前に、
証拠が
(1)正確で
(2)詳細で
(3)必要十分で
(4)代表的で
(5)権威による裏付けがあり
(6)関連性があるものか
確認してください。


4.読者の疑問・反論に耐えうる論証(argument)とはどの様なものですか?

⇒自分の論証(argument)の結果を否定したいと願う読者からの反論・疑問を想定し対話を繰り返す中でより質の高い論題へと高めてください。

研究課題への問い
(1)何故それが研究課題と言えるのか(研究課題を遂行しないことから生じる損害があるのか?あるいは研究課題と関連した現実的利益があるのか)
(2)何故そのように研究課題を定義したのか(概念的定義か実践的定義か)

解決策への問い
(1)研究課題の解決策が読者への理解や行動にそのままつながるか(概念的あるいは実践的で一貫しているか?)
(2)主張が強過ぎないか(例外や限界を感じるけど…)
(3)何故その解決法が他のよりいいのか?他のやり方のほうが良いのでは?

証拠への問い
(1)生のデータが見たい
(2)データの数字が合わない
(3)詳細なデータは無いのか?(manyってどういう事?具体的な数字はあげられないのか?)
(4)データが古いのでは?
(5)データが偏ってるのでは?(一部のグループからのみのデータでしょ?)
(6)権威的な裏付けが十分ですか?(Smithはその分野の権威としては違うでしょ?)
(7)証拠が不十分では?(データが一つだけでは信頼できない)


5.根拠の重要性を心得ていますか?

⇒主張(claim)と理由(reason)の関連性を裏付ける「信用」のようなものが根拠(warrant)です。例えて言うなら諺のようなもので、世間一般的に信頼されている因果関係や意味連関を表します。その因果関係や意味連関を主張と理由の関係に投射することで論証の裏付けを保証しようとします。根拠は一般状況と一般結果の2部で構成されていますが、一見して分かりにくい場合もあります。根拠の信憑性を測るために次のことを問うてみましょう。その根拠は
(1)本当?
(2)適切?
(3)信頼性がある?
(4)研究分野に適している?
(5)その理由・根拠と主張の関係に一般的根拠が当てはまるか?



Ⅳ 執筆計画を立て、草稿を行い、修正するために


1.草稿に入る前の計画のたて方を知っていますか(ストーリーボードを使って)

⇒論文の各セクションにポイント(主張)を含めた見出しを付けることで、論証(argument)を吟味します。前出のストーリーボードを使って、論文全体のイメージ図を描きましょう。全体の配列が終わってもすぐに草稿を始めず、草稿のための計画を立てることを薦めます。議論に一貫性と説得力を与えます。

序論草稿のための計画(準備)
(1)自分の論証(argument)にとって最も重要なソースから、主張箇所(key points)を簡単にまとめてストーリーボードに書きましょう。
(2)そのまとめの中から、疑問点や納得できない点を見つけ、問いを立て直してみましょう。
(3)その問に答えることがいかに重要であるか(何故、どの様に)説明しましょう。
(4)序論の終わりで、その問に対する自分の答えを主張(point)として述べましょう。

本論草稿のための計画(準備)
(1)研究に関する背景の整理、用語の定義、研究課題の提示、研究の限界などを行います。そして、より大きな歴史的、社会的背景の中で研究課題を設定し直してください。これらのことを簡潔に行なってください。
(2)ストーリーボード1ページにつき主要セクション1つを割いてください。ページのはじめにはそのセクションの主張(point)を記述してください。大抵の場合、この主張(point)は、研究全体の主張(claim)の理由(reason)に当たります。
(3)論証の展開順序を適切に配列します。時系列、原因結果、簡単から複雑へ、馴染みのあるものからそうでないものへ、検討しやすいものから扱いにくいものへ、重要なものからそうでないものへ、理解しやすいものから準備が必要な物へ、一般的な分析から専門的な分析へ、など。
(4)展開順序を明確にし、ディスコースマーカーを使用するなど、分かりやすい配列にしましょう。

結論草稿のための計画(準備)
結論のはじめに再度ポイント(主張)を述べましょう。できれば、新たな意義付けをして締めくくりましょう。


2.草稿作成(drafting)のとき何に気をつけますか?

⇒草稿は、新たなことに気づくために行う作業であり、気をつけるべきことがいくつかあります。

(1)見出し(headings)は論文の構成を示すために有用です。
(2)引用、パラフレーズ、サマリを適切に使いましょう。サマリは、詳細には整合性がないソース(情報源)でもアイデアを取り入れたい時に要約します。パラフレーズは、原本よりも情報を明確に伝えるために、自分の言葉で述べてください。引用は、原本のまま理由を裏付ける証拠として記述します。また、議論の新たな展開にも見通しを与えるような決定的なデータであるか、鍵となる強力な概念を示すものであるべきです。
(3)証拠を示す場合は、理由との関連性を記述してください。
(4)次のような場合は剽窃(plagiarism)になりますから注意してください。
(a) 引用の出典を明記していない。
(b) 引用箇所を括弧や別段落で示していない。
(c) パラフレーズする際、原典と同じような語句や表現を複数使った場合。

3.修正作業(revising)がいかに大切か御存知ですか?

⇒修正作業を適切に繰り返すことで、読者にとってより客観的で明確な論文に仕上げることができます。
(1)修正作業を行う順序は、全体の構成→セクション・段落→文→スペルや句読点、で行います。
(2)全体の枠組を見直す場合は、先ず、序論と結論部に見出しをつけます。それから序論と結論部で述べている主張が一貫しているか確認します。最後に、テーマに関連した、鍵となる概念 (key concepts)が各セクションに適切に配列されているか確認します。
(3)論証(argument)を見直しましょう。議論の展開と論文の構成が一致しているか確認します。そのためには、理由(reason)を示す各セクションにおいて、その理由としてふさわしい主張(point)が示されているかどうか確認します。また、証拠(evidence)を示す場合は、セクションの2/3以上の分量に膨れ上がらないように注意してください。何故その証拠(evidence)が理由(reason)を保証するのか、ある程度の分量を割いて説明する必要があるからです。
(4)論証の質を吟味しましょう。証拠と主張のつながりはありますか。限定表現(hedges)を適切に使っていますか。異論反論・代案について想定していますか。議論展開されている箇所では、根拠を欄外に書きだして信頼性を確認していますか。
(5)構造の一貫性を確認する場合は、鍵となる用語(key terms)すべてを丸印で囲み、各セクションに数語ずつ散りばめられているか確認します。次に、各セクションには見出し(headings)がついているか確認します。各セクションのはじめに、前セクションとの関連を示す記述が必要です。次に、各セクションが全体の主張(whole point)につながっているか確認します。各セクションの主張(claim)はセクションのはじめに述べてください。最後に、各セクションが他のセクションとは異なる意義を持つことを示すそのセクションならではの用語が使われているか確認してください。
(6)段落をチェックしましょう。各段落はそのセクションの主張(point)とつながっているはずです。また、小さい段落(2,3)文)を上手く(リスト化、移行、紹介、強調など)活用してください。
(7)全体をパラフレーズしてみましょう。序論から結論までの各セクションの最初の段落をパラフレーズすることで、全体をスッキリと把握できます。修正作業のなかで何度か行うことになると思います。
(8)アブストラクトを書いてみましょう。一般的には、先ず、トピックに関わる背景(context)を述べます。次に、問題点(problem)、最後に、主張(main point)を述べます。Key wordsはタイトルや第1文目に書き込むことで、検索にかかりやすくなります。


4.視覚資料の活用の仕方を知っていますか?

⇒量的なデータを理解するためには視覚資料が便利です。どの視覚資料がどのタイプのデータやメッセージに適しているのか簡単に説明します。視覚資料は大きくtableとfigureに分かれます。Tableは表タイプの視覚資料で、詳細かつ客観的に独立したデータを示し、読者がデータの関連性を読み取れるようにします。Figureにはチャートやグラフなどがあります。例えば、チャートは複数の項目を比較するのに使います。線グラフは時間系列での継続的な変化を示します。その他色々ありますので、目的に応じて最も効果的な視覚資料を選びましょう。


5.「序論」と「結論」の書き方を知っていますか?

⇒よい序論は読者に研究に対する興味を抱かせると同時に、内容理解を促進させます。よい結論は読者に明確な主張を再確認させると同時に、研究の意義を深めさせます。先ず、序論の修正の仕方を見て行きましょう。序論の構成は、トピックに関する背景の共通認識から述べます。次に、実はどの様な問題が潜んでいるのかを述べます。そして、さらに、その問題がどの様な事態に行き着くのかその損失や利益を説明します。最後に、主張(claim)を述べ、事態の解決を約束します。結論の構成は、序論の構成と逆になります。先ず、メインポイント(主張)を詳しく述べます。次に、研究の意義や新たな問題の解決への示唆を適切に示します。最後の言葉の前に、今後の課題や研究の可能性について述べてください。タイトルには、メインポイントに含まれるキーワードを入れるようにしましょう。


6.適切な文体につての原則を御存知ですか?

⇒分かりやすく無駄のない文体に仕上げることで、論証(argument)が理解しやすくなります。
(1)主題(main characters)を主語にしましょう。主語は短く明確で具体的であるべきです。最もよいのは、動作主がイメージできるような主語です。重要な行為を動詞にで表現しましょう。
(2)草稿を診断して修正する方法としては、先ず、各節の最初の5、6語に下線を引きます。次に、具体的な主題が主語で、行動を伴う動作が動詞になっているか確認します。これを修正するには、文の主題を見つけます(作ります)。その主題の行為を動詞で表現します。
(3)幾つかの重要な原則を紹介します。まず、「主題に関する馴染みのある古い情報から後に繋がる複雑で新しい情報へ」の原則に習って、文を修正しましょう。また、「自分で行ったことを明示するべき時にはIを主語にすること、誰が行なっても同じ行為は受動態で表現する」原則も有用です。また、各段落の最初か2番目の文の終盤に、そのパラグラフの鍵になる用語(key terms)を使用しましょう。


Ⅴ 倫理的(ethical)に研究するために

⇒研究とは社会的な行為です。読者との社会的な契約はエ-トス(ethos)というお互いの信頼に基づいており、証拠を悪用したり剽窃(plagiarism)を行うことは研究分野の所属するコミュニティーの崩壊につながる重大な行為になります。次に上げるような行為が決して起こらないように確認してください。
(1)剽窃や他者の研究結果を自分の手柄にする。
(2)情報源(source)を誤用したり、データをでっち上げたり、結果を偽る。
(3)信憑性のないデータを使用する。
(4)反駁できない意見を隠蔽する。
(5)反対意見を戯画化したりねじ曲げてしまう。
(6)データを破棄したり、未来の研究者に有用な情報源を隠す。

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