下手でもいいからきちんと原理に忠実に行う「下手な稽古」と、最初から上手にやろうと闇雲に行う「駄目な稽古」という区別をするのは黒田鉄山先生ですが、英語の発音に関しても、愚直かつ丁寧に「下手な稽古」を重ねて、決して「駄目な稽古」で自分をごまかさないことが大切かと思います。
英語学習者(あるいは英語教師!)も発音について原理に忠実な練習を積み重ねる必要があります。「駄目な稽古」はすぐに「それっぽい」発音を生み出しますが、後々上達しませんし癖が強くなるかもしれません。ですが「下手な稽古」を辛抱強く続けると、数カ月後・数年後とその分だけ英語発音の原理に忠実な音が出せるようになります。
しかし英語発音の原理である調音音声学(acoustic phonetics)の本を見ると、難しく見える専門用語に圧倒されてしまいます。それぞれの用語が意味していることは非常に単純なことなのですが、専門用語が難しく見えるという理由だけで多くの人は英語発音の原理を理解することを諦めてしまいます。
これは非常にもったいない。繰り返しますが、難しいのは用語だけであり、その中身は簡単だからです。
そこでここでは、通常の調音音声学の専門用語をわかりやすく言い換えた表を提示します。最初にわかりやすい表現、次に日本語での専門用語表現、最後に英語での専門用語表現をつけておきます。
(クリックすれば大きくなります)
出典:George Yule (2010) The Study of Language Cambridge University Press. p.34
まずは、子音の出し方を理解しましょう。次の4つを理解して下さい。
(1) 子音とは、口の中で空気の流れを妨害することによって出す音です(ですから強い呼気(吐く息)が必要です)。
(2) 空気の流れを妨害する場所が、表の上に書いてあります。「子音を作り出す場所 (調音点) place 」です。
(3) 空気の流れを妨害するそれぞれの場所でどのように子音を作り出すかが、表の左端に書いてあります。「子音の作り出し方 (調音法) manner」です。
(4) それぞれの場所でそれぞれの方法で空気の流れを妨害しながら強く息を吐くことで子音を作りますが、その時に喉を震わせない(無声 voiceless)か、喉を震わせる(有声 voiced)かで音が変わってきます。
子音は、以上の4つのポイントを組み合わせることで区別して発音します。上の表の灰色の部分にはどんな音が入るでしょう。
で確認して下さい。上の表に英語での専門用語もつけておきましたから、このサイトの使い方もわかるはずです(使ってみたら感動するぐらい便利なサイトであることがわかっていただけると思います)
次に子音発音の原理を頭で理解し身体に叩きこむために、表1の灰色の部分を見ながら発音してみてください。必要に応じて表2や上のサイトを参照して下さい。
発音は原理に従えば必ずできます。どうぞ、わかったふりをして「駄目な稽古」を繰り返すのではなく、上の表やサイトを使って原理を身につけて下さい。その原理をものさしにして、辛抱強く「下手な稽古」を続けてゆけば、必ず「上手」になれますから。
0 件のコメント:
コメントを投稿