2009年9月5日土曜日

偶然を待つということ

私は20-30代の頃、河合隼雄先生の著作を読みあさりましたが、最近再読した本の中の一節も、非常に印象深かったので、ここでもご紹介します。村上春樹氏との対談の中の一節です。



河合: ぼくは何をしているのかというと、偶然待ちの商売をしているのです。みんな偶然を待つ力がないから、何か必然的な方法で治そうとして、全部失敗するのです。ぼくは治そうなんかせずに、ただずっと偶然を待っているんです。

村上: でも、偶然を待つというのはつらいですよね。

河合: そりゃつらいですよ。なんにもしないんだから。待っていて、うまいこと偶然が起こったら、そのときにはやっぱりパッパッとがんばらなくてはいけないんですけどもね。

『村上春樹、河合隼雄に会いに行く』新潮文庫 148ページ


合理性の安易な肯定も否定もしないところに、河合先生の融通無碍さと深さを感じるように思います。





0 件のコメント: