上山晋平先生は、常に誠実にな努力を続けておられる中高英語教師です。セミナーなどでお会いしても充実した資料を提供され、またいつも新たな知見を示されています。
そんな上山先生がこの度、新刊『 はじめてでもすぐ実践できる! 中学・高校 英語スピーキング指導』を出版されました。
目配りが行き届き、非常に具体的です。書いていることは単なるお題目提示ではありません。実践で苦労し、その経験をセミナーなどを通じて他人に伝え続けている人でなければ書けないような本ではないでしょうか。
「おわりに」の記述によりますと、上山先生はこの本を書くにあたり、毎年100-200ページ書く実践記録を読み返し分類した上で目次案を作成したそうです。そこからさらに必要な項目を考え、書き始めては編集し、全体としての整合性や統一性を調節したとのこと。読者を意識しながら、自分の実践について何度も振り返り、その中で知恵を凝縮し体系化したといえるでしょう。
そんな本書は、授業準備(第一章)、授業のコツ(第二章)、 活動(第三章)、宿題・試験・評価(第四章)という構成でスピーキングについてまとめています。
理論についても学習指導要領について手堅くおさえるだけでなく、CEFRや自己決定理論についてもまとめています。
自己決定理論についての関連記事
ダニエル・ピンク著、大前研一(訳) (2015) 『モチベーション3.0 持続する「やる気!」をいかに引き出すか』講談社+α文庫
http://yanaseyosuke.blogspot.com/2018/04/2015-30.html
実践についてはもうふんだんに指導のコツが提示されています。
本のレイアウトもとてもわかりやすく、通読しやすいだけでなく、困った時などに何度も参照しやすくできています(ネットに無料の情報が氾濫するなか、書籍のレイアウトの重要性はますます高まっているように思えます)。
優秀な実践者が忙しい時間の中から、仲間である英語教師のためにこのような本をまとめる文化は日本が誇っていいものだと思います。また校務分掌や部活指導で忙しい中に、このように自らの研究を積極的に公刊する姿勢は、私としても頭が下がる思いです。少しでも見習わなければ。
「スピーキング指導について一冊」というならこの本をお薦めします。
0 件のコメント:
コメントを投稿