2016年11月15日火曜日

「言語学という基盤を問い直す応用言語学?―意味概念を複合性・複数性・身体性から再検討することを通じて―」 (応用言語学セミナーでのスライドとレジメ)

以下の応用言語学セミナーで講演をさせていただくことになりました。(より詳しい情報と申込方法はここをクリック

ここではその際に私が投映する予定のスライドと配布する予定のレジメを公開します。

ご興味のある方は、それらをダウンロードした上でご参加いただけたら幸いです。




第 19 回応用言語学セミナー
ー応用言語学を考えるー
日時:2016 年 11 月 26 日(土)
場所:明海大学浦安キャンパス
講義棟 1 階 2102 教室

12:30 受付開始
司会:佐々木文彦(明海大学外国語学部日本語学科教授)

13:00‐13:15 趣旨説明
大津由紀雄(明海大学大学院応用言語学研究科長・外国語学部長)
「なぜ、いま、「応用言語学を考える」のか?」

13:20‐14:10
柳瀬陽介(広島大学大学院教育学研究科英語教育学講座教授)
「言語学という基盤を問い直す応用言語学?
―意味概念を複合性・複数性・身体性から再検討することを通じて―」

14:20‐15:10
安田敏朗(一橋大学大学院言語社会研究科准教授)
「応用言語学は応用がきくのか――日本の言語政策のあり方から考える」

15:15‐16:05
瀧田健介(明海大学外国語学部准教授)
「極小主義プログラムと応用言語学」

16:20-17:30
パネルディスカッション



柳瀬の投映予定スライドは下からダウンロードしてください。








配布予定の印刷レジメの内容は以下の通りですが、ここをクリックすればファイルをダウンロードできます。








言語学という基盤を問い直す応用言語学?
意味概念を複合性・複数性・身体性から再検討することを通じて

柳瀬陽介(広島大学大学院教育学研究科)
yosuke@hiroshima-u.ac.jp
http://yanaseyosuke.blogspot.jp/

1 序論
1.1 発表者の自己記述:研究では、心理言語学から言語学と哲学の架橋へと移行し、後にさらに脱言語学化。教育学部での職責では現実対応優先。
1.2 応用言語学の定義:大津定義と米国応用言語学学会定義の違い
1.3 具体例から:トランプとクリントンの演説の意味を私たちはどのように感得したか。
1.4 意味の分類:現象学的意味は、言語学的意味(意味論的意味と語用論的意味)だけでなく、非言語学的意味(周辺言語学的意味と無言語学的意味)からなる。
1.5 科学の定義:アブダクションと反証可能性。反証可能性は再現可能性を前提とするが、複合的なシステムでの再現可能性は低い。

2 意味概念に関する哲学的探究
2.1 複合性:意味は、意識(およびコミュニケーション)という自己生成システムの素材。意味は、現実性と可能性のつながり。かくして意味は、意識の複合性を表象する。
2.2 複数性:「異なれども対等」な人間が複数いるのが「人間の条件」。意味が生じるのは、私たちが複数形で存在する限りのこと。現実は数えきれないほど多くの観点と視点が同時に存在していることから生じる。無数の観点と視点から、何かが共有されるようになる。
2.3 身体性:言語は「からだ」から生まれ、「こころ」で感じられ、「あたま」で広がる。言語は、非言語的な形象の翻訳あるいは変換。

3 記述と存在
3.1 統合情報理論:科学的な記述は存在の代わりにならない。核分裂の記述はいかなる核エネルギーも生成しない。
3.2 具体例に戻る:トランプとクリントンの演説の意味理解における複合性、複数性、身体性を現時点で扱いうるのは哲学

4 結論
4.1 応用分野にとって、科学は基盤でなく先端部分である
4.2 応用分野にとって、研究対象は自らを含む出来事である






0 件のコメント: