2015年7月2日木曜日

「意味論の比較から考える小学校英語教育のあり方」(一般社団法人「ことばの教育」主催 講演会)のスライドを公表



7月4日の下記の講演会で使用するスライドをようやく完成させることができましたので、ここでも公開することにします。ご興味のある方はダウンロードしてください。講演会にご参加の方は予め印刷して講演会にもっていくと便利かと思います(今回は当日配布資料はありません)。















以下は講演会の詳細です。参加には予約が必要です。







一般社団法人「ことばの教育」主催 講演会

「小学校英語でどんな力を育むか---あるいは、どんな力を育もうとしてはいけないか」


小泉清裕氏(昭和女子大学附属昭和小学校)
柳瀬陽介氏(広島大学)
大津由紀雄(明海大学、本法人代表理事)

■ 時程
7月4日(土曜日)
郁文館夢学園 220号教室
15:00 - 15:10  開会
15:10 - 15:40  小泉氏講演
15:40 - 16:10  柳瀬氏講演
16:10 - 16:40  大津代表理事講演
16:40 - 17:00  休憩
17:00 - 17:30  3人談義
17:30 - 18:00  フロアとのやりとり
終了後、学内食堂にて懇親会あり


■ 各講師の演題と概要

小泉氏
演題:小学校英語と出合って20年―その間に考えたこととやってきたこと
概要:1994年度から、私個人の意志ではなく、学校の都合で小学校英語教育に足を踏み入れ、それから20年以上が経ちました。この20年間に、小学校英語教育の波は日本中に広がり、2020年度からの新しい展開に向けて急速に動いています。しかし、今進もうとしている道は、20年前に私が実践し始めた時に歩んだ、「間違った道」と同じ道のように思えてなりません。恐ろしいことに、どんな道でも皆で歩めば「間違った道」とは感じなくなってしまいます。全国の680万人の小学生にとって、彼らの20年後に活きる小学校英語教育にするために、大人たちが何をして、何をすべきでないかについて私の考えをお伝えします。

柳瀬氏:
演題:意味論の比較から考える小学校英語教育のあり方 ―子どもの未分化の統合的な力を分断してはいけない―
概要:初等教育では教科担任制をとらず一人の担任教師がほぼすべての時間を担当することの背景には、子どもの知性・感性がまだ大人のように分化していないことがあります。子どもの力は、未分化のまま統合的である方が、その後の人生での成長のためには重要であると考えられます。しかし、外国語としての英語教育では、言語学の伝統的な意味論の考え方が強すぎて、英語の意味はもっぱら指示(reference)の問題として授業が展開されがちです。今回の講演では、ダマシオ、デューイ、ルーマンの意味論を提示し、子どもが英語を「あたま」で覚えるのではなく、「こころ」と「からだ」で丸ごと経験できるような授業を行うための基礎理論を提示します。岩波ブックレット『小学校からの英語教育をどうするか』の第一章の議論の発展編なので、できれば同書を予めお読みいただければありがたい限りです。

大津代表理事
演題:やはり、小学校英語はやらないに越したことはない。しかし、そうは言っていられない小学校の先生がたへの応援歌
概要:わたくしは小学校英語に関して、それが活動型であれ、教科型であれ、その導入に一貫して反対してきました。いまでも、その考えに変わりはありません。実際、英語狂想曲はその騒々しさを増す一方です。同時に、《災い転じて福となす》をスローガンに、現実的な対処方法を探るとともに、小学校英語導入を年来の主張である言語教育の実現へ向けた第一歩とする方策を模索してきました。今回の講演では、柳瀬・小泉『小学校からの英語教育をどうするか』に触発されたところをもとに、「ことばへの気づき」育成のために英語をどう利用することができるのかを考えてみたいと思います


■ 講演者紹介

小泉清裕(昭和女子学附属昭和小学校校長)
専門は英語教育。幼稚園から大学院まですべての部門で英語教員の経験あり。『子どもと親と先生に伝えたい現場発!小学校英語』(文溪堂、2009年)、『小学校英語活動ネタのタネ』(アルク、2011年)、NHK教育テレビ『スーパーえいごリアン編集委員。Eテレ『プレキソ英語』(2011年度~2013年度放送)監修。

柳瀬陽介(広島大学大学院教育学研究科教授)
専門は英語教育学。『第二言語コミュニケーション力に関する理論的考察』(渓水社、2006年)、『成長する英語教師をめざして一新人教師・学生時代に読んでおきたい教師の語り』(共編著、ひつじ書房、2011年)、『英語教師は楽しい-迷い始めたあなたのための教師の語り』(共編著、同、2014 年)ほか、ブログ「英語教育の哲学的探究2」を運営。

大津由紀雄(明海大学教授、慶應義塾大学名誉教授)
専門は言語の認知科学。『英文法の疑問---恥ずかしくてずっと聞けなかったこと』(2004、NHK出版(生活人新書))、『小学校での英語教育は必要か』(2004、編著 慶應義塾大学出版会)、『英語学習7つの誤解』(2007、NHK出版(生活人新書))、『ことばの力を育む』(2008、共著 慶應義塾大学出版会)、『学習英文法を見直したい』(2012、編著 研究社)、『英語教育、迫り来る破綻』(2013、共著 ひつじ書房)、『学校英語教育は何のため?』(2014、共著 ひつじ書房)

参加費:一般の方1,000円 ことばの教育会員、学生、大学院生 無料
懇親会費:3,000円

参加希望の方は、事前に、柳瀬陽介・小泉清裕『小学校からの英語教育をどうするか(岩波ブックレット922)』(2015年、岩波書店)を読んでおかれることをお勧めいたします。

ご予約はこちらから。必要事項を記入の上、ご予約ください。













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