2007年6月30日土曜日

技でもなく、アクション・リサーチでもなく —私たちのExploratory Practice— 7/10

6 Exploratory Practiceとは何なのか(授業研究その3

6.1 Dick Allwright先生を中心とした動き

 Exploratory Practice(仮訳「探究的実践」)は、特に2000年代から、(元)ランカスター大学のDick Allwright先生を中心にして提唱されました。日本では兵庫教育大学の吉田達弘先生が早い時期から研究を進めています。本日はその発展の詳細は割愛します。

Allwright, D. (2003).

Exploratory Practice: Rethinking practitioner research in language teaching.

Language Teaching Research, 7 (2), 113-141.

Allwright, D. (2005)

Developing principles for practitioner research: The case of ExploratoryPractice.

The Modern Language Journal, 89 (iii), 353-366.

Gieve, S. and Miller, I. K. (eds.) (2006).

Understanding the Language Classroom.

Hampshire, United Kingdom: Palgrave Macmillan.

6.2 Exploratory Practiceの対比的理解


Scientific Research

Action Research

Exploratory Practice

隆盛時期

1980年代

1990年代

2000年代

目的

一般法則発見

問題解決

理解の深化

思考法

一つの問題に一つの仮説。法則を実験で証明。

一つの問題に(しばしば)複数の仮説。問題解決を実践で実証。

複数の問題に複数の仮説。問題群を探究し、理解を深める。

世界観

一般的因果性

個別的因果性

個性的複雑性

方法

実験計画法

擬似実験計画法(?)

特に定めない

学問的背景

個人心理学

教育工学

生態学的言語習得論

学習観

認知行動

仕事

Life

重視すること

厳密性

アカウンタビリティー

Quality of Life

結果

規範提示(prescription

記述(description)

相互の成長

研究者

三人称の中立的存在

一人称の単数

一人称の複数

学習者

データ源

データ源

協働実践者

研究期間

断続的に短期

縦断的に中期

持続可能に恒常的

研究者と実践者の関係

研究者が実践者に指示

研究者が実践者を兼任

実践者が研究者となる

研究の主な公表対象

学会誌

利害関係者

当事者および当事者に共感する者

デメリット

教育への介入が過剰あるいは不適切になる

アクションの自己目的化・過剰負担化

自己満足に終わりかねない

⇒私たちは科学的授業研究よりもアクション・リサーチ、アクション・リサーチよりもExploratory Practiceを優先させるべきではないだろうか。

http://yanaseyosuke.blogspot.com/2007/05/exploratory-practice.html

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