2007年6月30日土曜日

技でもなく、アクション・リサーチでもなく —私たちのExploratory Practice— 6/10

5 アクション・リサーチの問題点?

 こうしてみると、アクション・リサーチには次のような問題点があるとも考えられます。

5.1 深い理解なしの「問題」設定

 深い理解なしの「問題」設定(=問題意識の固定化)は危険。例、コミュニケーションを取れない生徒は「問題」か?⇒教師の浅い理解?全体の理解の方が重要なのでは?

5.2 「仮説検証」への傾斜

 日本語教育の横溝先生は、英語教育で主流のアクション・リサーチを「仮説検証型AR」、日本語教育で試みられているアクション・リサーチを「課題探究型AR」と対比している。日本の英語教育のアクション・リサーチはリフレクションを重視していないのではないか?

横溝紳一郎(2004)

「アクション・リサーチの類型に関する一考察:仮説-検証型ARと課題探究型AR

JALT日本語教育論集』第8(pp. 1-10)

5.3 「アクション」や「プロジェクト」の重視

 教育界への競争原理の導入で、地道な実践よりも、目立つプロジェクトが重んじられるようになった。また、プロジェクトやアクションは、「説明責任」(アカウンタビリティー)によって、結果が目に見えるものでなくてはならないというプレッシャーが強くなった。

5.4 持続困難なアクション・リサーチ

 日常業務に加えて、プロジェクトやアクションを行う(行わなければならない)教員が心身消耗状態になってしまうことは珍しくない。

 アクション・リサーチの全てが悪いなどという暴論は言いませんが、より現実的な授業研究のあり方はないものでしょうか。次に、「アクション・リサーチでもない」授業研究の新しい波、Exploratory Practiceについて検討しましょう。

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