2007年6月30日土曜日

技でもなく、アクション・リサーチでもなく —私たちのExploratory Practice— 5/10

4 アクション・リサーチとは何だったのか(授業研究その2) 

4.1 英語教育におけるアクション・リサーチ

 日本の英語教育界では1990年代中頃から、従来の科学的授業研究に比べて、はるかに実践者の「アクション」を重視するアクション・リサーチが脚光を浴びました。実際、最近刊行されたこの英授研メンバーによる『すぐれた英語授業実践』(大修館書店)でも高橋先生は、エピローグの「授業改善への具体的指針」でアクション・リサーチを薦めておられます。そのプロセスは次のようにまとめられています。

(1) Problem Identification

(2) Preliminary Investigation

(3) Research Question

(4) Hypothesis

(5) Plan Intervention

(6) Outcome

(7) Reporting

(8) Follow-up

4.2 アクション・リサーチの背景となる考え方

 アクション・リサーチは科学的授業研究に比べてはるかに実践的ですが、背後に次のような考えがあるように思えます。

1 教育工学的アプローチ:あくまでも「問題」を見つけてそれを「解決」しようとしている。

2 擬似実験計画法:統制群なしで複数の仮説を確かめようとする。「複雑性」の認識が中途半端ではないか。

⇒つまり、科学的研究では、「一つの問題に一つの仮説」を立てて、その「法則」を「実験で証明」しようとしているが、アクション・リサーチではしばしば「一つの問題に複数の仮説」を立てて、その「問題解決」を「実践で実証」としている。しかしこれはまだ「実験計画法」の考え方に引きずられすぎていないか?現実は「複数の問題に複数の仮説」があり、私たちはそれを探究的に理解しようとしているのではないか?

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