4 アクション・リサーチとは何だったのか(授業研究その2)
4.1 英語教育におけるアクション・リサーチ
日本の英語教育界では1990年代中頃から、従来の科学的授業研究に比べて、はるかに実践者の「アクション」を重視するアクション・リサーチが脚光を浴びました。実際、最近刊行されたこの英授研メンバーによる『すぐれた英語授業実践』(大修館書店)でも高橋先生は、エピローグの「授業改善への具体的指針」でアクション・リサーチを薦めておられます。そのプロセスは次のようにまとめられています。
(1) Problem Identification
(2) Preliminary Investigation
(3) Research Question
(4) Hypothesis
(5) Plan Intervention
(6) Outcome
(7) Reporting
(8) Follow-up
4.2 アクション・リサーチの背景となる考え方
アクション・リサーチは科学的授業研究に比べてはるかに実践的ですが、背後に次のような考えがあるように思えます。
1 教育工学的アプローチ:あくまでも「問題」を見つけてそれを「解決」しようとしている。
2 擬似実験計画法:統制群なしで複数の仮説を確かめようとする。「複雑性」の認識が中途半端ではないか。
⇒つまり、科学的研究では、「一つの問題に一つの仮説」を立てて、その「法則」を「実験で証明」しようとしているが、アクション・リサーチではしばしば「一つの問題に複数の仮説」を立てて、その「問題解決」を「実践で実証」としている。しかしこれはまだ「実験計画法」の考え方に引きずられすぎていないか?現実は「複数の問題に複数の仮説」があり、私たちはそれを探究的に理解しようとしているのではないか?
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