2013年10月5日土曜日

組田幸一郎先生の英語教育講演会 (2013年10月18日(金) 広島大学教育学部K108教室)




今年度も幸運なことに、組田幸一郎先生(千葉県立成田北高校教諭)に英語教育について語っていただく機会を得ることができました。(組田先生をご存知ない方、どうぞ下の「関連記事」あるいは組田先生ご自身のブログなどをお読み下さい)

今回で三回目となりますが、過去二回とも私たちの心の深いところに響くことを、ご自身の教育実践から語っていただきました。今年は、過去二年間のお話を純化・集約したお話をしていただけそうです。教壇に立つ前にぜひ組田先生のお話を聞いておいてください。参加はもちろん無料ですので、どうぞお誘い合わせの上、お越しください。



■ 概要

英語教師の幸せ


 英語教師は英語を教えることだけが仕事ではない。授業を受け持つだけではなく、教育に関わるほぼ全ての仕事、たとえば担任を受け持ち学年を形成したり、生徒指導や進路指導などの分掌を受け持ったり、部活動や生徒会活動などで生徒を指導したりする。休み時間や清掃時、日直の終わりや雑用をお願いしたときの言葉かけなど、「地味」ではあるが、大切なコミュニケーションである。  

 当然のことながら、英語教師は教師という範疇に存在するが、研修会となるとほぼ全てが「英語授業」に焦点がおかれている。授業という「職人芸」を研鑽することはすばらしいことではあるが、それを突き詰めようとする前に「教師としての哲学」という土台がないと、技術しか考えられなくなってしまうのではないか。  

 教師も人間であり、人生がある。学校における「教師」としての役割はその一部であり、「英語教師」としての役割はそのまた一部である。フレッシュ教員として採用され、中堅として「充実した年齢」を迎え、次の世代を育てる年代になっていく。自己評価において仕事が充実していれば幸せだが、ここで喪失感やむなしさがあると、他者からの評価を得ようとする。数字に表れない「教育の成果」の部分を信じられないと、数字や肩書きに頼る傾向にあるのではないか。英語教師は他教科に比べ、教科力をあげることを望まれるが、教科力を考えるだけでは、対象者が限定されてしまう。  

 教師が「幸せな人生」という幸福感=自分なりの人生観を持っていなければ、生徒の進路指導は世間でいわれる方向性と同じにならざるをえない。偏差値が高ければ幸せか、高学歴なら幸せなのか、年収が高ければ幸せなのか。確かにそれも大切だろうが、自分の人生観に合わせた生きる糧であり、生きる糧を目標とした人生ではないはずである。  これは教科指導も同じだろう。英語教師としての筋を持っていなければ、授業も時流に流されるばかりになり、トレンドを常に気にしてしまう。自分も英語学習者としての自覚を持って、自分なりの英語観と学習観を持つことが、ピン立ちの英語教師につながる。これは英語教師として作られるのではなく、教師としての哲学をベースとするものではないか。  

 教育という、自分の人生を教科書としていく仕事を選ぶのであれば、私たちは自分の人生をどのように豊かにし、その中で「英語教師」としての役割を充実させていくのか。このような視点で人生を考えないと、数字による競争に巻き込まれ、生徒を「コマ」として考える危険性にさらされてしまう。




■ 講師

組田 幸一郎 先生 (千葉県立成田北高校教諭) 

著書に『高校入試短文で覚える英単語1700』、『高校入試フレーズで覚える英単語1400』、『基礎からのシグマベスト 高校これでわかる基礎英語 (新課程版)』、『高校入試スーパーゼミ英語』(文英堂)など(アマゾン一覧)。

共編著書に『成長する英語教師をめざして - 新人教師・学生時代に読んでおきたい教師の語り』(ひつじ書房)。

 

ブログは「英語教育にもの申す」(http://rintaro.way-nifty.com/tsurezure/



■ 日時

2013(平成24)年10月18日(金)18時から20時まで



■ 場所

広島大学教育学部K棟108教室



■ 参加申込

不要です。当日会場にお越しください。



■ 懇親会 

20時半から1時間半程度。広大付近の会場で、会費は3000円前後を予定しています。

会場予約のために人数把握をする必要がありますので、ご希望の方は必ず10月15日(火)までに下記からお申込みください。後日、会場が決定したらご連絡を差し上げます。






■ 関連記事 

日本英文学会シンポジウム 「文学出身」英語教員が語る「近代的英語教育」への違和感:報告と資料掲載
http://yanaseyosuke.blogspot.jp/2013/09/526-1-2-3-canon-jakobsonlinguistics-and.html
第85回日本英文学学会シンポジウム・「文学出身」英語教員が語る「近代的英語教育」への違和感 ― 大学の英文学教育は中高英語教員に何ができるのか (5/26(日)東北大学)
http://yanaseyosuke.blogspot.jp/2013/04/85-526.html
組田幸一郎先生の講演を聞いて
http://yanaseyosuke.blogspot.jp/2011/11/blog-post_22.html
ブログ「英語教育にもの申す」の管理人が自著『高校入試短文で覚える英単語1700』400冊と同解説集800冊を被災地の学校・塾に無償提供
http://yanaseyosuke.blogspot.jp/2011/04/1700400800.html
新人英語教師および英語教師を目指す学生さん、どうぞ『英語教育2011年3月号』の特集記事をお読みください
http://yanaseyosuke.blogspot.jp/2011/02/20113.html
組田幸一郎著 (2013)『基礎からのシグマベスト 高校これでわかる基礎英語 (新課程版)』 文英堂
http://yanaseyosuke.blogspot.jp/2013/03/2013.html
組田幸一郎『フレーズで覚える英単語1400』文英堂
http://yanaseyosuke.blogspot.jp/2009/09/1400.html
近日発刊予定 『成長する英語教師をめざして ― 新人教師・学生時代に読んでおきたい教師の語り』(ひつじ書房)
http://yanaseyosuke.blogspot.jp/2011/08/blog-post_17.html
講演会「リメディアルの英語教育の実践について」講師組田幸一郎・11/17(木)18時から・広島大学教育学部にて
http://yanaseyosuke.blogspot.jp/2011/10/111718.html




この講演会・懇親会に関する問い合わせは柳瀬 (yosuke@hiroshima-u.ac.jp)までお願いします。


追記 (2013/10/17) 

参加者が講演会で感じたこと・考えたことを下から投稿できるようにしました。ブログ等で広く他の皆さんと共有してもよい公開コメントと、組田先生と柳瀬だけが読むことができる非公開コメントの二種類を書く欄があります。どちらか、あるいは両方を選んで書いて下さい。なお、公開コメントの欄に書かれた文章が自動的に公開されるわけではありません。そこに書かれた文章のうち、柳瀬が広く共有するのに適当と判断したコメントだけが後日柳瀬のこのブログなどで公開されます。







0 件のコメント:

コメントを投稿

注: コメントを投稿できるのは、このブログのメンバーだけです。