2013年3月14日木曜日

瀧沢広人 (2013)『英語授業のユニバーサルデザイン つまずきを支援する指導&教材アイデア50』明治図書



次の4月中旬に発売される『英語教育5月号』(大修館書店)に、瀧沢広人先生による『英語授業のユニバーサルデザイン つまずきを支援する指導&教材アイデア50 (目指せ! 英語授業の達人)』(明治図書)の書評を掲載していただくこととなりました。

本が面白かったので、その良さを伝えるべく書評は結局2バージョン作成しました。そのうちの一つを編集部に選んでもらって、それを5月号に掲載してもらいます。以下に掲載するのは、選ばれなかった方の書評の最終段落です。

もしクラスに "No, I bon't"と書いたり、英単語の大文字が小文字になっただけで音読が困難になる生徒さんがいたら、ぜひ本書を手にとってみてください。



英語という教科は、幕末・明治以来、エリートによる実利追求の科目としばしば認識されてきた。英語の成績によってエリートを選別し、そのエリートが日本の経済成長をもたらすという思惑が今も英語教育界からも透けて見えてくる。だが「文化とは生命を大切にすること」(住井すゑ)ということばからすれば、国の文化的成熟度は、経済成長ではなく、国民がどれだけ一人ひとりに与えられた生命を互いに大切にしているか、で判明する。とかく大学進学や海外留学を当然視しがちな英語教育界で、本書のように、英語の力をつけようにもつけられない生徒に光が当たった意義は大きい。英語教育界が各種障害をもった生徒を「同じでもなく、違うでもなく」(綾屋紗月『つながりの作法』)扱うことができた時、私たちも少しは成熟できるのだろう。














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