(1)Googleの使いこなし方の具体的な技術を学ぶ
(2)Google以外の、専門検索エンジンを使うことを学ぶ
ということです。
(1)だけでも、使いこなし方によっては検索結果は全く異なります。さらに英辞郎(http://www.alc.co.jp/)やハードディスクにインストールされたCollins Cobuild-resource Pack on CD-Romなどと共に、安藤進『ちょっと検索! 翻訳に役立つ Google表現検索テクニック』丸善株式会社といった本を参考にしてGoogleを使いこなせば英語を書くときにはずいぶん役立ちます。
(2)にしても、例えば
http://yanaseyosuke.blogspot.com/2008/04/useful-online-resources-for-applied.html
に挙げられているものだけでも使いこなせれば、山ほど学術情報が得られます。
しかしこの(1)と(2)を教えるだけでは、学生さんは情報の洪水に巻き込まれるだけかとも思いました。学生さんは、
(a)具体的で正確な用語を(できれば英語でも)知らなければなりません。
(b)用語を相互に結びつける思考の枠組みを知らなければなりません。
(a)ですが、論文を書くことになった学生さんがGoogleに「英語教育」とだけ入力しても、その検索の旅が効果的になるとはとても思いません。学生は、正確な学術用語、研究者の名前などを入力しないと、(2)の専門検索エンジンでさえ、大量の情報にうろたえるだけでしょう。
(b)ですが、学生は系統立てて、あるいは体系的に思考をまとめる術をマスターしておかなければ、よくある「Aさんはこう言っています。Bさんはこう言っています。Cさんは・・・。結論は、いろんな人が、いろんなことを言っているということです」といった無惨な結果に終わるだけでしょう。概念を相互に関連づけるということはどういうことか。概念で「構造」を作るということはどういうことか。構造を他のデータに当てはめるということはどういうことか。構造の一部を修正して、構造を再構築するということはどういうことか。全く別の構造で考えるというのはどういうことか。同時に複数の構造で考えるということはどういうことか。かなり新しい構造を自分で仮説的に作り出してそれで考えるということはどういうことか・・・学生さんはこういった思考訓練を十二分に経験しておかなければなりません。
(a)さらに(b)は非常に習得に時間がかかることです。(a)は大量の良質の学術書を読まなければ身につきません。(b)は本を読みながら、あるいは他人と討論しながら、さらには自分で文章を書きながら、徹底的に考えなければ身につきません。しかしそのように時間のかかる知的能力こそが価値があるのです。
いくら(1)と(2)の検索技術について知っても、(a)と(b)が駄目なら、屑みたいなレポートや論文ができるだけです。逆に(a)と(b)がしっかりしていれば、その人は、この情報爆発のウェブ時代で、これまでには信じられなかったような知的生産をすることができるようになるでしょう。
検索技術以前・以上の「教養」こそが、ウェブ時代を泳ぎ切る鍵だと私は思います。
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