広島地区で達セミが行われるときには必ず参加していたのですが、ここ数回出張が重なったりして欠席を続けておりました。今回一日だけですが参加しました。やっぱりよかった。
全体を通じて感じたのは、どの発表も、実践者の学習者に対するケアが感じられるということです。
上山(かみやま)(晋平先生(広島県福山市立福山中・高等学校)は「スラ英BOOK」(「スラ英」とは「スラスラ英会話」の略)という資料を提示しながらのプレゼンテーションでしたが、この資料が実に丁寧に作り込まれています。上山先生がこれまで様々なところで様々な人々から学んだ英語学習のメニューとコツを、中学生のために親身になってブレンドしています。上山先生はこの資料をお望みの先生には進呈しますともおっしゃっていました。上山先生の発表を聞く機会がある方はぜひ楽しみにしていてください。
松本涼一先生(福島県立豊富高等学校)の発表は、兄貴筋(?)の畑中豊先生----お話を聞く機会があればぜひぜひ行ってください。御著書の『教師必携! 英語授業マネジメント・ハンドブック』も非常に素晴らしい本で、私は今年度の『英語教育増刊号』の年間書評のトップにこの本をもってきました----の「生徒の心を温かく読む」スピリットを引き継ぎ、コンピュータ・テクノロジーを強化したようなご発表でした。Mac, iPod, iTuneを使いこなしているのですが、その一つ一つの使用に必然性があり、私達も自然に話の内容に引き込まれてゆきます。授業がテクノロジー主体ではなく、生徒の心----できる生徒の心もできない生徒の心も----を最大限理解し受容し、励まそうとするものになっていることがよくわかります。この松本先生と上山先生のことを事務局の谷口幸夫先生は「達セミジュニア世代」と呼んでいましたが、若い世代の先生がこのように先行世代の知恵と愛情を受け継ぎ、テクノロジーをどんどん使いこなしてゆくのを見ることは本当に嬉しいことです。
目崎浩子先生(岡山県立西大寺高等学校)のご発表も細かな配慮に満ちたものでした。一つ一つの工夫に裏付けがあります。生徒一人一人のできること・できないこと、誇りの感情・恥の感情を細かくケアする授業は本当に見ていて気持ちが温かくなります。面白かったのはそんな目崎先生も「私、機械は駄目なんですよ」と言いながら、DVDやYouTubeの映像を取り込んだiPodやPowerPointを使いこなし、スムーズに授業を進め、聴衆にダイレクトにメッセージを伝えていたことです。いい授業をしたいという思いが目崎先生のコンピュータ・リテラシーを高めているのでしょう。この発表を見て私の隣の高校教師の方は自分もiPodを買おうと言っていました。そのくらい目崎先生はテクノロジーをうまく使いこなしていました。
上本晋之先生(大阪府・市立四条畷南中学校)に関しては、私は以前私が敬愛する人から「すごい先生がいる」と話を聞いてから、一度ある機会にお話しさせていただき、上本先生の奥深さを感じていたものの、発表を聞くのは初めてでした。この発表も素晴らしかった。私が上本先生と個人的にお話しさせていただいた時は身体についてのことが主だったのですが、この発表においても身体のことから、それが自然と英語のリズムにつながり、さらにはそれが「言葉の奥を読む」ことにつながっていました。当たり前のことかもしれないのですが、中学校でも「深い英語授業」というものはできるのだなぁと感心することしきりでした。上本先生は音楽の造詣も深いそうです。こうしてみると、授業とは、要はその人の人間としての総合的な力の上に成り立っているものだということを思わざるをえません。
このような達セミが10年以上も全国各地で続けられているということは、本当にすごいことだと思います。事務局の谷口幸夫先生に心から感謝します。
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