以下は講座のオリエンテーションで私が行った学部・大学院の新入生への挨拶です。
学部新入生へ: 失敗から学ぶことを学んでください
みなさん、ご入学おめでとうございます。
でも、なぜ入学がそんなにめでたいのですか?
私の考えは、大学というのは、挑戦をして失敗をすることが社会的に一番許されている場所だからです。みなさんはこれから大学で、社会で働く人たちよりも、たくさんの挑戦と失敗を経験できるから私は「おめでとう」と言います。
ではなぜ挑戦と失敗、とりわけ失敗を経験できることがめでたいことなのでしょう。
それは、人間は失敗から学ぶことができるからです。少なくとも失敗から学ぶことを選ぶことができるからです。
みなさんの中には、失敗することを怖がっている人もいるかもしれません。
失敗を避けるためのもっとも効果的な方法は、人から言われたこと以外何もしないことです。挑戦から逃げ続けることです。
何もしなければ、何にも挑戦しなければ、失敗のしようがありません。
しかし、自分で何もしないことは、自分の人生の否定です。
何かをすれば、一定の確率で必ず失敗します。打率10割のバッターはいません。
しかし失敗をするたびに、そこから学べば、人間はそれだけ賢くなれます。
もちろん失敗から学ぶことを拒絶すれば、賢くもなれず、惨めな思いばかり募ります。
しかし失敗から学ぶことを選べば、皆さんは必ず賢明になれます。
賢明になれば幸福になります(偶然の運・不運にかかわらず幸福になります)。
賢明になれば他人を幸福にすることもできます(そして他人を幸福にすることこそ、自分の幸福だということに気づくこともできます)。
ですから、どうぞ大学時代で賢くなってください。いや、賢くなる方法、すなわち学びを学んでください。
だから、どんどん失敗してください。いや、失敗から学ぶことを学んでください。
そのために、人から何か言われないとやらないという悪い癖を払拭してください。
どんどん新しいことに挑戦してください。自ら自主的に行動することを身につけてください。それが幸福への途だと私は信じています。
みなさん、ご入学おめでとうございます。
大学院新入生へ:量より質を大切に
皆さん、大学院へようこそ。
どうぞ豊かに学んでください。
本日は時間が限られていますので、一つのことだけを言います。
それは、Quality of Life、うまい訳語がありませんが、敢えて訳すなら「人生の充実感」を大切にしてください、ということです。
私が大学院生だったころ、私は他人の二倍の時間勉強しようと努力しました。しかし、それは今思えば間違いでした。それは自分のからだと心に過剰な負担をかける方法だからです。短期的にはうまくいっても、長期的にはいろいろな問題が生じがちです。
ですから、他人や単なる数値を自分の人生の物差しにしないでください。他人との比較や、質感を無視した単なる数量に支配されないでください。
自分自身のからだで間違いなく実感できる Quality of Life (人生の充実感)を基準にしてください。そして自分の人生がいちばん充実するような学びのスタイルを身につけてください。生活においても学びにおいても、量より質を大切にしてください。
そして充実感をからだで実感している限りにおいては、どんどん学んでください。
その学びにより、この世界を少しでもよい世界にすること、それが大学院の使命です。
一緒に豊かに学びましょう。
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