2012年10月1日月曜日

Widdowson (1978) Teaching Language as Communication 「英語教育ブログ」みんなで書けば怖くない!企画第4回「英語教育、この一冊」




「英語教育ブログ」みんなで書けば怖くない!企画 第4回「英語教育、この一冊」
に参加しています。

http://d.hatena.ne.jp/anfieldroad/20121001/p1 



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「学生時代に読んでおきたい教育学や教科教育法などの分野でオススメの書籍や、教師となってから出会い強く影響を受けた本など」を、「一冊」だけ紹介して見ませんかというのが、上記の企画。

「現時点で、現代の学生さんに読んでおいてほしい本を一冊選ぶ」となると、結構難しいし、「教師になってから出会い強く影響を受けた本」は、哲学などの英語教育以外の本ばかりなので(笑)、ここでは自分が学部生時代に強く影響を受けた英語教育の本を一冊あげます。

Henry WiddowsonによるTeaching Language As Communication(1978年、オックスフォード大学出版局)です。





「英語教育ブログ」みんなで書けば怖くない!企画 第1回「「私の英語学習歴 ― 留学なしで大学院修了まで」」でも少し書きましたが、私は本来、国語教師希望でしたので、実感のわかない外国語を学ばなければならない英語科に入ったことを結構後悔していました。「実感のわかない言語を学び、教える意味とは何ですか」と新入生歓迎飲み会(当時は18歳でも当たり前のように飲んでた)で、ある先生にガチで聞いた時に、なんだかはぐらかされたのも、その後悔の理由の一つでした(教訓:バカがガチで聞いてきた時には、何でもいいからガチで答えた方がいい。ただし、そのバカと関わりたくない時はその限りにあらずw)。

で、二年生の頃はユング(というより河合隼雄)の本ばかり読んでいて、三年になったら心理学科に転学科してやると思っていたけど、根性なしだったのでそのまま三年生に進学しました。

三年生になったら授業は少しは面白くなり、前期で、毎時間、英語教育の英書の要所を一ページぐらい読んで、それについて教授が講義し学生に問いかける授業などは結構好きで、まあ、英語科にいても悪くないかと思い始めました(←クソ生意気w)。

で、後期の授業の最初に配られた推薦図書のリストの一冊にあったのが、このWiddowsonのTeaching Language as Communication。その当時はアマゾンなんてないし、洋書を注文するというのも結構手間だったので、当時広島市内の本通りにあった丸善の二階で現品を買ったのだと思います。

秋から読み始めて、冬休みの帰省時に読み終えたように記憶しています。面白かった。私はこの本を読むことで、大学院に行こうと決意しました。

目次は下に転載しているとおりですが、Widdowson得意の二分法による理論展開は、その頃、拙いながら自学しはじめた言語学―その当時私の講座では一般言語学はほとんど教えられていなかった―の理論に基づきながらも、それをWiddowsonなりに展開したもので、その論の明晰さと説明力に魅力を感じました。Usage/Use, Signification/Valueなんて懐かしいなぁ。

後年、JALTにWiddowsonが来ると聞いて、ちょっと無理して学会参加しました。彼が司会をしたOxford Debateでは、フロアーからのちょっと険悪な空気を出している質問を、良質のユーモアで一瞬にして笑いに変えたりするのを見て、やっぱりWiddowsonはすごいなぁと憧れておりました。

だから懇親会で思い切って話しかけて「あなたの1978年の本を読んで、私はこの職業を選びました」というと、彼も少し照れたように「私にとってもあの本は思い出深い」と言っていました。

その含羞もいいな、と思っていたら、次の日、出版局のブースの後ろで、Widdowsonはネットでしっかりサッカーの試合結果をチエックしていました。-- そんなあなたも、好きよ、ヘンリー(はぁと)(←あ、そんな趣味はありません。あくまでも冗談ですw)

もう長いことこの本を読み返すことはしていませんが、その当時もWiddowsonの文体感覚を学部生ながら味わったと思います。彼の英語の巧みさは、初学者にとっても明白だったと思います。理論においても実践的含意においても文体にも優れたこの本を学部生時代に読んだことにより、私はこのように道を誤りました天職を得ることができました。

4年生になった時には、院試対策も兼ねてFundamental Concepts of Language TeachingError Analysis and Interlanguage などを読みましたが、学部生時代というのは、自力で英書を読むとそれだけで自信になると思います。

「英語専攻のよい子は、日本語の本ばかりでなく、英語のご本も読みましょうね」、と最後には教師お説教スタイルになるから、バカは死んでも治らないと言われるのだった。

おそまつ





目次
Introduction
1 Usage and Use
1.1 Correctness and appropriacy
1.2 Usage and use as aspects of performance
1.3 Usage and use in classroom presentation
1.4 Aspects of meaning: signification and value
1.5 Usage and use in the design of language teaching materials
1.6 Selecting areas of use for teaching language
1.7 Summary and conclusion
Notes and references
2 Discourse
2.1 Sentence, proposition and illocutionary act
2.2 Cohesion and propositional development
2.3 Coherence and illocutionary development
2.4 The relationship between propositional and illocutionary development
2.5 Procedures of interpretation
2.6 Deriving discourse from sentences: an example
2.6.1 Propositional development: achieving cohesion
2.6.2 Illocutionary development: achieving coherence
2.7 Conventions of coherence
2.8 Deriving discourse by arrangement: another example
2.9 Summary and conclusion
Notes and references
3 Linguistic skills and communicative abilities
3.1 The four skills
3.2 Activities associated with spoken language
3.3 Activities associated with written language
3.4 Reciprocal and non-reciprocal activities
3.5 Linguistic skills and communicative abilities
3.6 Retrospective and prospective interpretation
3.7 Assimilation and discrimination
3.8 Non-verbal communication
3.9 Summary and conclusion
Notes and references
4 Comprehending and reading
4.1 Preview
4.2 The reading passage as dependent exemplification
4.3 The reading passage as independent 'comprehension piece'
4.3.1 Extracts: the problem of authenticity
4.3.2 Extracts: the comprehending problem
4.3.2.1 Priming glossaries
4.3.2.2 Prompting glossaries
4.3.3 Simplified versions
4.3.4 Simple accounts
4.4 Gradual approximation
4.5 Comprehension questions: forms and functions
4.5.1 Types of question by reference to form
4.5.2 Types of question by reference to function
4.5.2.1 Usage reference
4.5.2.2 Use inference
4.6 Other reading exercises
Notes and references
5 Composing and writing
5.1 Preview
5.2 Types of grammar exercise
5.3 Exercises in usage and use
5.3.1 Composing sentences in passages
5.3.2 Using the contexts of the reading passage
5.4 Preparation exercises
5.5 Exploitation exercises
5.5.1 Gradual approximation: sentence to discourse units
5.5.2 Gradual approximation: act to discourse units
5.5.2.1 Focus on single illocutionary acts
5.5.2.2 Relationships between pairs of acts
5.5.2.3 Extension to larger discourse units
5.5.3 Rhetorical transformation of discourse units
5.5.4 Information transfer
5.6 Summary and conclusion
Notes and references
6 Towards an integrated approach
6.1 Preview: the need for integration
6.2 The discourse to discourse scheme
6.3 Types of procedure
6.3.1 Demonstration: rhetorical transformation by gradual approximation
6.3.2 Demonstration: rhetorical transformation by illocutionary change
6.3.3 Demonstration: information transfer
6.4 Principles of approach
6.4.1 Rational appeal: the use of translation
6.4.2 Integration and control
6.5 Summary and conclusion
Notes and references
Index











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